貝殻の欠片。
聴こえてきた 夢の隙間
邪魔だったのは 手触り
「バっちいなぁ……」
払って 悪態をついたのは
砂粒の嫌らしさからなのだろうか
見た目は美しい貝殻を
投げ捨てようとして
ただ 宿を借りようとする気配
緩やかにカーブを描く放物線
ヤドカリの尻尾が 切なくて
辺りに散らばる星
海星でさえ 引いてしまう
釣られて群がる 毛玉
雲丹
軒並み かっさらってゆく
浜辺で涙を流す海亀が
満月に 祈るしかなくて
また 海原へと帰っていった
「これって……波の音?」
知るよしもない夕げ
さざ波に誘われた ふたりの憧憬
町灯りが 待っていた
温もりを 求めて
たった一晩の