第41話 【ラストバトル その3:『アルティメット祐子VS刃那子』】
祐子は、バッジのパワー&サチコの祝福で強化されている。
ボロボロの刃那子は、防戦一方。
だが、刃那子は最後の切り札、”魔力”を使って身体強化した。
空中に足場があるかのように、自在に、そして高速で移動しながら祐子に打撃を加える刃那子。
「ぐっ……、お前もサッちゃんの力を……お前が……お前なんかが! ガァッ!」
祐子が地上に堕ち、「死になさい、祐子」刃那子が必殺の抜き手でとどめをさそうとしたとき、刃那子は躊躇してしまった。
目の前にいるのは、樹神幸子を愛して、狂ってしまった友人なのだ。
「う……」
刃那子が膝を突く。
魔力酔いだ。
体勢を立て直した祐子の一撃で倒れる刃那子。
「思ったより甘いのね、は・な・ちゃん!」
「くっ……」
刃那子は動けないが、近づいた祐子のバッジに、必殺技”浸透勁・極(最大魔力バージョン)”を使うため気を溜める。
「あら? なにか企んでるのね。おお、怖い。近づかないわよ? 残念だったわね。あーはっはっはっはっ!!」
離れた場所で高笑いする祐子。
刃那子の作戦はバレていた。
突然ぴたりと笑いを止める祐子。
「わたしは、あなたが憎い! あなたが憎くてたまらない! あなたが転校したあと、サッちゃんは、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、あなたの事ばかり!」
「それは違うわ、祐子! サッちゃんは、あなたのことを……悔しいけど、あなたのことを一番の親友だって……」
「うる……さい……うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!」
宙高く浮き上がった祐子が、巨大な氷の槍を作り「死ねぇ!」、刃那子に投げつける瞬間!
【ギリギリ間合いました】
マリアの声だ。
そして、刃那子の前に立ち、剣を手にすさまじい風魔法を使い氷の槍を防いだ、鎧を身に纏う人物……。
「ゆうこちゃん!」
それは……樹神幸子だった!
「サッ……ちゃん」
呆然となる祐子と刃那子。
地上に降り、震える手をサチコに伸ばす祐子。
真っ黒い瞳からは、血の涙が流れ出る。
「う……ぐぅ……ぎぎ……」
苦悶の表情を浮かべながら、なおも手を伸ばす祐子。
「ゆうこちゃん……」
サチコが祐子に、フワリと抱きつく
「ごめんね……いやなことさせてごめんね、ゆうこちゃん……」
(《補足》:呪いで自分をイジメさせたこと)
「あぁ……サッちゃん……。サッちゃんなのね……。やっと、やっと会えた……やっと……やっと……あやまることが……」
祐子のつけているバッジが、ボロボロと崩れ落ちる。
黒い服も、黒い瞳も元に戻る。
サチコに抱きつき、泣きじゃくり、謝り続ける祐子。
「は……! ゆ、ユキッペ!」
やがて、我にかえり、雪菜の元へ駆け寄る祐子。
「わたし……なんてことを……ユキッペ!」
祐子が泣きじゃくる
「いいんだし。これは当然の報いだし。サッちゃん……ひどいことして……ごめん……ね」
そっと目を閉じ、動かなくなる雪菜。
「うそ……うそよ! ユキッペ!」「ユキッペ!」「そんな……」「あぁ……ユキッペ……」
泣き叫び、雪菜にすがりつく一同。
それをしらっとした顔で見つめる、マリア。
言いにくそうな顔で見つめる、サチコ。
「あ、あの……ゆきちゃんの怪我……その……治ってるんだけど……」
「「「「へ?」」」」
一同がサチコの顔を見て声を上げる。
すると雪菜がムクッと起きて、ポケットから手帳を出した。
「いやぁ、最高のネタもらったし! 感動ごっちゃんでした! メモメモっと」
「「くおのぉぉっ! ユキッペぇぇぇっ!」」 ポキポキと指を鳴らす、祐子と刃那子。
「いひぃ! た、助けてぇぇっ!」 雪菜。
「「自業自得よ」」 美冬と典子。
(《補足》:転校前日に、樹神幸子が言った言葉「ごめんね、はなちゃん……一番の親友は、ゆうこちゃんなんだ……。でも、はなちゃんも同じくらい大好きだよ!」)
(《補足》:サチコは叔父が死んで呪縛が解けた)
(《補足》:サチコは15歳の姿)




