第36話 【一年後……】
※これ以降の話は、プロットに少し肉付けした体裁になっています。
(打ち切り作品のため、これ以上の労力を割けませんでした)
伏線の回収や、大事な箇所は物語形式で書いてますので、よかったらお読みください。
(本来20万文字のところを、1万5000文字にしているため、箇条書きの箇所が多々あり)
「慎次郎くん!」
病室に飛び込むなり、女性は叫んだ。
「よぉ」
禁煙たばこをくわえ、ベッドの上で上半身を起こしている男が、右手を挙げた。
「よぉ……じゃないわよ……バカ……」
女性は入り口に立ち尽くし、ポロポロと涙をこぼした。
数分間泣きじゃくった女性が、男から受け取ったハンカチで三回鼻をかんだ頃、男が口を開いた。
「ずいぶん長いこと、寝ちまったみたいだな」
「寝過ぎなのよ……バカ探偵……ヒック、ビーッ!」
女性が四回目の鼻をかんだ。
「全部終わったのか?」
そう訊きながら、安い方のハンカチを渡して正解だったなと、男は思った。
「えぇ、ごめんなさい。あの坊やは……」
「……おまえのせいじゃないよ。あいつは自分の罪を償いたがってたんだ。最後に、尊敬するおまえを守れたんだ。あいつも本望だろうよ。――あれから何があったか教えてくれるか?」
「そうね……まずは、わたしが留置所に入ったところからかしら」
「馬殿……高橋美冬の旦那から訴えられたやつか?」
「そうよ。まぁ、美冬ちゃんの夫をそそのかした悪徳弁護士には、相応のお礼をさせてもらったわ」
「あぁ、そんなことあったな、だんだん思い出してきたよ。どうしてすぐに出なかったんだ? お前のお抱え弁護士なら簡単だろ?」
「出ようと思えばすぐに出られたけど、”気”を溜めるために利用したのよ。その頃ちょっと使い過ぎちゃってね」
「おまえの力は充電式だったのか……」
「まぁ、似たようなものよ。でも、同室のギャングの女ボスがうるさくて、瞑想できなかったわね。それで、ぶん殴って黙らせたんだけど、逆に懐かれちゃってね。もっとうるさくなったから、弁護士をつけてやって、出て行ってもらったわ」
「類は友を……いや、なんでもない……」
「……なによ? それに、しつこい刑事がいたわね。いけすかない、嫌なやつだったわ」
(《補足》:”気”を溜めるには、結跏趺坐で瞑想)
(《補足》:10時間瞑想して5%ほどチャージできる)
(《補足》:女ボス:幸真教が大嫌い、刃那子にぶん殴られて惚れ込み、後に味方に)
(《補足》:勁”を使うための”気”は50%ほどになっていた。
《補足》:角山卓也に10%以上使った)
《補足》:数日後、出所すると、秘書と一緒にいた人物は……。




