第五話[竹幹]
こんにちは、別の作品を書いてみようかと考えているけどまだ勇気の出ないオロボ46です。
今回は影島の姪っ子の黒日の視点になります。
どうか最後まで見ていってください。
暗闇の中を歩いていた。
何も見えない、何も信じなれない暗闇の中を、
ただ一つの支えだけを頼りに歩いていた。
やがて、闇の中に男の後ろ姿が見えた。
男はあぐらをかいていて、何かにイラついていた。
あたりにはいくつかのビールの缶が落ちていた。
「おい、黒日。」
男はそう言って振り向き、拳を上げた。
「!!」
竹幹 黒日は悪夢から覚めた。
(またあの夢・・・)
黒日はあたりを見渡した。
ここは学校、いつもと変わらない教室だ。
机には古典の教科書とノート、筆記用具、そしてメモ張があり、
手にはヘアゴムが握られていた。
黒日は人格の交代にヘアゴムを使っているからだ。
教室の時計は10:45分を指していた。
(3時間目は数学か・・・)
黒日は数学の授業に使う教科書やノートを用意した後、メモ張をめくった。
○月△日(木)二時間目
特に異常はないです。
数学、頑張ってね。
小雪
(また無駄なことまで・・・
日付とか書かなくてもいいだろ・・・)
そう思いながら黒日はメモ張をしまった。
学校では、意思解離型の青い人格を持つ者は
授業によって人格を変えることになっていた。
黒日の場合、主に文系は小雪が、理系は黒日が担当することになっていた。
ただし、テストの場合は意思共有型と同じく
それぞれの人格ごとに全ての教科のテストを受けなければならない。
そのため、意思解離型であってもその人格が担当してない教科は全く勉強しなくてもいいという訳ではない。
「ねえ、黒日さん。」
隣の席に座っていた亜美が話しかけてきた。
「小雪ちゃんのことだけど・・・。」
「小雪がどうかしたのか?」
黒日は聞き返した。
「いえ、ただ怯えていたみたいだったから・・・。」
「怯えていた・・・?」
「実はね、さっきの古典の時に小雪ちゃんが消しゴムを落としたの。
それを兎三くんが拾ったんだけどその時にすごく怯えていたの。」
兎三くんは亀崎 兎三郎のことだ。亜美は彼と数ヶ月前から付き合っている。
「ねえ、黒日さん、小雪ちゃんに何かあったの?」
「知らねーよ。メモにも特にないってかいてあるし、
特に心配する必要ねーよ。」
「そっか・・・それなら大丈夫か。黒日さん、ありがとう。」
黒日は嘘をついた。
心配する必要ないと言っても内心は気が気でなかった。
小雪はとてもいい子だ。少なくとも黒日はそう信じている。
小さいころはほとんど黒日の人格だった為、行動に幼さが残っているが、
読書と甘い物が好きで、臆病で人見知りなものの自分の身内や友達のことを大事に思っている。
周りに冷たい自分とは大違いだ。
「小雪ちゃんが青い人格なの!?あたし黒日くんが青い人格だと思った!」
クラスメイトにこんなことを言われたこともある。
多分男性の人格と間違えられたのだろう。
確かに自分は男っぽい口調で話すが、服装などは女の子らしくしているつもりだった。
それでも黒日は小雪にコンプレックスを懐いたことは無かった。
黒日は、小雪のことをを双子の妹のように思っていた。
だから小雪が怯えていた時はいつもあの夢を見る。
臆病で人見知りな小雪は時に頭を抱えるほど怯えることがある。
その時に限って眠っている黒日はあの夢をみるのであった。
(いつもならメモに書いているはずなのに、なぜ書かないんだ?)
最初はたまたまあの夢を見ただけで、小雪は怯えていた訳ではないと思っていた。
だけど小雪の親友の亜美が心配していたとなれば考えは一つしか無かった。
(小雪が何かを隠している・・・?)
とにかく、一度小雪に聞いて見るしかない。
多分教えてはくれないだろうが・・・。
キーンコーンカーンコーーン
黒日がそう考えた時、3時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
いかがでしたか?
次回はまた祐介と高次の視点の予定です。




