異本の消失 -9-
とりあえず4人で図書室の机に座り、海斗に話をするよう促す。
「犯人は、図書委員だ。詩音さんの友人から返却された本に挟まれている図書カードに書かれているのはその友人の名前ではなく、詩音本人の名前。つまり、別の人間が代返したって事だ。その図書委員は、その友人の名札と図書カードを見比べ、代返に気付いた。そして本人が直々に返しに来なかった事に怒り、詩音の靴箱にその本を突っ込んだ。どうだ? これならつじつまが合うだろ?」
「確かに、それだと納得がいきますね。じゃあ、私が直々に本を返却すれば事件は解決って事ですね!」
「凄いじゃない! やるじゃん!海斗君!」
テンションが上がる3人を尻目に、翔は下を向いて考え込んでいた。本当にそうなのだろうか。確かに、本を直接借りた人を特定できるのは図書委員ぐらいである。しかし、この説を通すには、一つだけ矛盾点がある。
「なぁ、もし海斗の推理が合ってるのだとしたら、、図書委員はどうやって詩音さんの靴箱を特定したんだよ?」
「え…? そ、それは、多分頑張って探したんじゃないか?」
明らかに戸惑っている。多分靴箱の事は考えていなかったのだろう。だが、海斗も負けじと翔に言い返す。
「だとしたら、翔はこの事件が解決できるってのか?」
「……解決って訳ではないが、考えならあるな」
全員の目が一斉にこちらを捉えるのを感じた。




