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夕刻の響曲 -14-
「…確かに理屈は分かるけど、この前木山が言ってた『このタイミングで怪奇現象が起こった何か』って何のことなのよ」
納得はしたが、満足はしていない様子の千野の疑問に翔は先程と変わらぬ口調で答える。
「さっき俺が携帯を窓の外の小さな出っ張りに置いていたが、あれは少しでも風が吹くと携帯電話はすぐにバランスを崩して落下してしまう。だが、今は学校の壁の塗装が行われているから風は入ってこないし、足場も組まれているから犯人はそこで携帯電話やら音楽プレイヤーやらを操作して驚く被害者を嘲笑っていたんだろ」
「確かに、それだったら1人でも犯行が行えますね!」
「ま、あくまでもこれは仮説に過ぎない。だが十分説明がつく。中山にはお前達から話しておいてやってくれ」
それだけ言い残し、ダルそうにあくびをしながら手を振り、音楽室から出て行く。どうやらこのまま帰宅するつもりらしい。
「あいつ、いつも面倒面倒って言ってんのに、こんな時には凄いのね…」
「まぁ、逆に言えば推理してる時以外は本当に何もしないんだけどな」
翔の後ろ姿を見ながら感心したような、呆れたような声で話し合う千野と海斗であった。




