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夕刻の響曲 -12-
「…まずはこの音楽室の特徴からだな」
「普通の音楽室じゃないの?」
すぐに質問して来る千野の反応に満足気に頷きながら翔は説明を続ける。
「ここの学校の音楽室の壁には吸音加工がされていないんだ」
そう言って壁の表面を指でなぞる。つるつるとした硬い壁だ。
「吸音加工された壁には小さい穴がたくさん空いてるんだ。視聴覚室の壁は吸音加工がされていたはずだ」
「吸音加工されてたらどうなるんだ?」
「文字通り音が吸収されるんだ。だから外に音が漏れづらくなるんだ。本来、ほとんどの学校の音楽室の壁には吸音加工が施されているんだが、この音楽室はそれがされてない」
「でも音はあまり外には漏れ出てないみたいですよ?」
「吸音加工がされてない分、壁が厚く設計されているんだ。ドアも他の教室のものより分厚かった」
「で、それとこれがどう繋がるのよ」
「吸音加工がされてなくて密閉された空間で大きな音が鳴ると、それは部屋の中で反響する。簡単に言うと、ライブ会場みたいな感じになる。というかこの辺りは中山も話していたはずだ」




