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夕刻の響曲 -6-
結局、ピアノからは何も出てこなかった。鍵盤を叩けばポロン、と子君の良い音がするし、もちろん普通に演奏する事もできる。詩音が実はピアノが弾けた事には驚きである。
「…そうなると、やっぱ幽霊なのか?」
出口付近で早くも結論を出そうとする海斗の考えに、翔以外の人間は頷きそうになっていた。
「…あれ?」
急に首をかしげる詩音。どうしたんだ、と声をかけようとしたが、その直後。
……ポロン
とピアノの音。全員がピアノの方を振り返るが、そこには誰もいなく、ピアノは窓から差し込む夕日の光に照らされているだけである。音楽室には秘密探偵部の4人と中山以外の気配は無く、しん、と静まる音楽室に窓の外から聞こえる野球部の号令が虚しく響き渡る。
「…おいおい…」
「まさか本当に…?」
翔と海斗の呟きを合図に、まずは詩音が音楽室から飛び出した。それを追いかけるように、他の4人も秘密探偵部の部室へと逃げていった。




