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夕刻の響曲 -3-
中山が話した内容は以下の通りだ。まず、吹奏楽部の中山は今日は練習がオフの日にも関わらず、部室でトランペットの自主練に励んでいた。なぜ音楽室を選んだのかというと、三滝高の音楽室の壁には音を吸収する材質が使われていないらしく、音がよく響くからだという。練習を始めて15分ほどした時、ポーンと弾くようにピアノの音を聞いたのだという。
「でも待ってよ。その話だと、音がよく響く音楽室でトランペットを吹いてるのに小さいピアノの音が聞こえたって事でしょ? それはおかしくない? 空耳だったんじゃないの?」
話を遮って反論する千野だが、この話にはまだ続きがあるらしく、それに構わず中山は話を再開する。
「で、この後、気のせいだと思ってトランペットを吹くのを止めたんです。その瞬間、今度はやけくそにピアノの鍵盤を叩くような滅茶苦茶な不協和音が鳴り始めました」
「で、走ってここに逃げてきた、って事か?」
「その通りです」
海斗の質問に、その時の事を思い出したのか再び怯えながら頷く中山。相当怖い思いをしたらしい。




