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夕刻の響曲 -2-
開かれた扉の方を見ると、顔が文字通り真っ白になった女子生徒が足をガクガクさせながらこちらを凝視していた。
「で、出たんだよ…。出た…、出た…」
どうやら幽霊か何かに出会ったらしい。翔からしてみれば未だにこちらを凝視している女子生徒の方がよっぽど怖い。
「と、とりあえず話聞きたいから座って?」
こういう時の千野は助かる。対応力があるというかなんというか。席に着き、中山と名乗った女子生徒は少し落ち着いたのか、ゆっくりと話し始める。
「音楽室の噂、みんなは知ってる…?」
そんなもの知ってるはず無い、と翔が首を横に振ると、隣に座っていた海斗は何かを思い出したかのように話し出した。
「あれだよな。三滝高七不思議の一つってやつか?」
「そう、それ。その中の一つの『勝手に鳴り響くピアノ』が発生したの…」
学校の七不思議。漫画の世界にしか無いと思っていたが、本当にあるらしい。それも高校にだ。
「つまり、ピアノが勝手に鳴ったんですか?」
控えめに筆問する詩音。最近知った事だが、詩音は幽霊やら心霊やらその辺りの類に弱いらしい。
「はい…」
返事をすると、中山は詳しい状況を話し始める。




