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陽炎の鎌鼬 -13-
「おい翔。全く俺には分からんのだが」
「あ、私分かっちゃいました!」
首をひねる海斗をよそに、ぽんと手を打つ詩音。どうやら、翔の言いたいことが伝わったようだ。
「ススキの葉っぱは、実は端がギザギザしていて、変に取り扱ったら手が切れちゃうんですよ。きっと、鬼ごっこをしてる最中にススキに接触して切っちゃったんですよ」
「ま、そういう事だ。低いところにも葉があったと考えると足の方の傷も説明が付く」
まさか被害者の3人はススキに斬られたなんて思ってもみなかっただろう。翔も、千野の推理が無ければ今回の事件は解決出来なかった。
「事件も解決したし、俺は帰るぞ」
「わ、分かったわよ。好きにすれば…?」
あからさまに悔しがる千野を置いてさっさと歩き始めた翔に海斗と詩音が付いていく。
「そういえば、夏休みの2週間前から夏休み最終日まで、校舎の壁の塗装をするらしいです!」
「って事は、校舎の壁の色が変わるのか!?」
「俺には関係ねーだろ。別に授業に障害が起こるわけでも無い」
だいぶ距離が離れてもなお千野は立ち止まっており、歯を食いしばってじっと翔の背中を見ている。
「なんで…、あいつだけ…!」




