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陽炎の鎌鼬の-12-
「な、何があったのよ…? イーゼルも無いし、カッターも無いのに…」
驚きを隠せない千野達に対して、早速翔は自分の推理を話し始める。
「まず、俺たちの犯人像だ。刃物を持っていて、人に気付かれずに腕や足を斬りつけることができてしまう。これはもはや人では無いと見ていいだろう」
「そうですね。だから鎌鼬が出てきたんです」
「そして、もう1つ。犯人の手口だ。高原が言ってた『刃物を仕掛ける』という部分。これは確かに合っている」
「でも、イーゼルも無いし、棒も無いわよ?」
「そうだ。何も無い。犯人は何も仕掛けてなかった。正確には、仕掛けたつもりなんて無かったんだ」
「…どういうことよ?」
そろそろ話についてこれない様子の3人に、少しおどけたように翔は答えを言ってやる。
「まぁあれだ。犯人はあれを植えた奴だな」
そう言って翔が指差した場所には、ゆらゆらと風に揺られるススキが生い茂っていた。




