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陽炎の鎌鼬 -5-
「さらに…」
翔はさらに言葉を続ける。
「凶器がはさみとカッターに絞られたとすれば、美術部の斉藤の方が犯人の可能性が高くなる」
「ええっ…、ぼ、僕じゃないってば」
翔の言葉に慌て出す斉藤。だが、正直なところ、翔は斉藤が犯人である確率は低いと考えていた。
「じゃあ、斉藤さんが犯人ね! 今すぐ生徒指導室に…」
「待て待て、まだ斉藤が犯人って決めつけるのは早すぎる」
「ど、どうしてよ?」
じれったそうにしている千野に対してさらに翔は説明を続ける。
「斉藤には悪いが、多分斉藤は運動音痴だ。音痴とまでは行かなくても、素早く人の手をカッターで斬りつけてまた隠れるなんて事は出来ないはずだ」
「酷い事言われてる気がするけど、確かに僕はあまり運動はできないよ…」
若干落ち込む斉藤を横目に見つつ、最後に決め手を述べる。
「そして、もしこの中に犯人がいるとしたら、そいつはよっぽどの馬鹿だな。もし俺が犯人の立場なら、あんな放送につられて部室に来たりはしない」




