異本の消失 -2-
「……は?」
入学式は昨日終わったが、ほぼ入学初日なのだ。部活の話なんてされても正直困るだけである。
「は? じゃなくて、部活! 一緒に入らない?」
「俺が何か部活をやるように見えるか?」
翔は、運動ができるタイプでは無い。かと言って音楽が好きなわけでも、絵が描けるという訳でもない。
「うーん、見えないんだけど、部員が足りないんだよねぇ…」
「部員? 何言ってんだよ。まさか人数が集まらないと廃部になるんですよー、みたいな部活に入るのか?」
「…まぁ、近いね。はい、これ」
意味深な回答と同時に一枚の用紙を渡される。どうやら部活動を新しく作るための申請用紙らしい。そこには既に「木山 翔」の名前があった。
「なっ…! 俺もう部員なのかよ!?」
「ま、断られてもこうなってたってわけよ。で、部室の案内だけしとくから、覚えといてね。えーっとね…」
教えられた部室の場所は4階の一番奥。三滝高校の校舎の造りは、1階から3階まではコの字になっており、2階にのみ西に渡り廊下がり、ぐるっと校内を一周できる。4階は、北の校舎の部分だけで、一番奥となる東の教室が部室となるらしい。非常にアクセスが悪い部室である。
「じゃ、そういうわけだから〜」
素早く逃げられる。運動ができない翔にそれを追いかける気力があるはずもなく、再び1-Cの教室を探し始めるのであった。




