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最小の逃走者 -2-
「……君! 木山君! 木山君ってば!」
朦朧とした意識の中、必死に自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。どうやら寝てしまっていたらしい。目を開けると、額がぶつかるほどの至近距離に詩音の顔があった。
「うぉあっ!?」
思わず飛び起き、辺りを見渡す。入り口付近の机に海斗と千野の姿が見える。海斗のやつ、居残りは終わったのか、なんてどうでも良いことを考えながら、詩音に連れられて2人の元へ向かう。
「起こしましたよ〜」
「あ、やっと起きたわね。久しぶりに事件なのに、勿体無いわねぇ」
「面白そうな話なんだ。翔も聞けよ」
4人に囲まれるようにして座っているのは、1人の青年。半泣きで、切羽詰まった様子で口を開く。
「ぼ、僕のペットが逃げたんだ…!」
「……は?」
その一言を聞き、まるで言葉が出てこない翔であった。




