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最小の逃走者 -1-
5月。学校生活にも慣れ、今日も秘密探偵部の部室へと足を運ぶ翔。海斗は小テストで赤点を取ったため、居残り。部室の扉を開けると、「2人」の人物が翔を迎える。
「あ、木山君。海斗君は居残りですか?」
いつも通りの丁寧口調で話しかけてくるのは「大橋 詩音」。本の神隠し事件(あの事件の後に千野が命名した)解決後、自分も人の悩みを解決したいと入部してくれた。いや、してしまった。これで部員は4人。秘密探偵部は部として正式に成り立ってしまったのだ。
「おう。あいつ、勉強しないからなぁ」
「そう言うアンタはどうなのよ」
「俺は普段からやってるから大丈夫なんだ」
部が成り立って約1、2週間は経ったか。最近部室に駆け込んでくる生徒も増えてきた。しかし、そのほとんどは物探しの依頼や人探しの依頼で、事件やら推理やらとはかけ離れた依頼ばかりである。
「ま、楽で良いんだけどな…」
「何か言った?」
独り言に対して反応した千野を無視して、鞄から本を取り出して読み始める。




