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異本の消失 -10-
3人の視線を直に受けながら、翔は自分の推理を披露する。
「結論から言えば、犯人は詩音さんと、その友人だ」
「ん? どういう事?」
「え、私ですか?」
「あれか? まさか、自作自演ってやつか?」
3人の反応に満足しつつ、説明を続ける。
「自作自演なんかじゃない。問題は、詩音さんの友人からのメールの文面だ。そこには『本を返しといた』とある。そして、詩音さんが友人に向けて言った『戻しといてね』という言葉。どちらにも主語がない…」
「「「ああっ!」」」
どうやら3人とも翔の言いたいことが分かったらしい。
「つまり、単に言葉が食い違っただけって事だな。詩音さんは『本棚に』戻しといてね、と話し、友人は『靴箱に』返しといた、という意味を込めてメールを打った。これなら、とりあえずつじつまは…」
つじつまは合うだろ、と言いたかったのだが、3人の歓声がそれを断ち切った事は言うまでもない。もちろん、その後図書委員から静かにしろと注意を受けた事も。




