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マモルくんの召喚ノート  作者: 蒼乃川 水人
終章 大人。
199/201

199ページ 成長痛。

 目覚めは突然な気がした。

そして動けなかった。

痛い・・体中が・・


体中の関節という関節が痛いと感じる。

どうしたんだろう・・オレ。

ともかく回復魔法をかけた。

でも一度では全回復とはいかなかった。

結局三度も体中にかけることになった。


あんな夢を見たせいなんだろうか・・


なんだか汗だくな気がしてシャワーを浴びた。

鏡に映るオレはなんだか変な気がした。

でも見えるのはいつもと同じはずのオレだ。


不意に気がついた。

肩に歯形のような跡がついている。

・・・あれ? 



 オレは走った。

そんなはずは・・と思いながら。

でも・・・


体育館に駆け込んだオレを見て彼女はほほ笑んだがソレが最後だった。

送還陣が光って彼女は消えた。

元の世界に帰って行ったんだ。


夢の最後で彼女は言った。

「〔ガブ〕はお前にくれて行こう。

今日から私はリエラだ。」


そう言ってオレの肩に噛みついた。

夢のはずなのに痛かった。

アレは・・・




 魔王さんが言う。

「お前・・呪いが解けてるな。」


呪い? 


「もうほとんど解けかけてたんだが今朝はもうキレイさっぱり解けている。」


呪いだなんて身に覚えが無いんですけど。


「あー・・言いにくいんだが掛けたのはお前の母親だ。

お前の魂呼ばいと同じで無意識に構築してあったんだ。

そういう無意識な代物は難物なんだよ。

しかも日々繰り返し掛けるからな。


お前の方も無意識に解除してたんだが気付いてなかったよな。

まあ、双子の弟妹が生まれてから徐々に弱まってたんだ。

だから聖女もワシも自然に解除されると思って放置だった。


親はつい掛けてしまうたぐいの代物だからな。」


オフクロがそんなことをするなんて思えませんけど。

一体どんな呪いなんです? 


「成長の阻害だよ。

つまり可愛い小さな子供のままでいてほしいという願望だな。

大抵は大きくなってほしいと言う気持ちとせめぎあって

それほどの呪いになったりはしない。


だが、お前は心配な子供だったんだろう。

ほんの少しの気持ちの偏りが産みだした呪いだな。

愛しているから掛けてしまったとも言える。


もう解けたんだし・・・恨むなよ。」


恨んでもどうしようもないですね。

そういえば今朝は体中が痛かったんです。

回復魔法を何度も掛けてやっと痛みは取れましたけど。


「・・・あ! お前身長が少し伸びてるぞ! 」


魔王さんの言う通りだった。

それからオレは時々全身に痛みを感じて目が覚める。

そして身長が少しづつ伸びて行った。

痛みは〔成長痛〕とでも言うものかもしれない。

あるいは呪いの解けた反動かも・・・


まだダチどもには追い付いてないがチビのマモルじゃあなくなっていった。


呪いが解けたのは彼女の〔夢〕のおかげだろうか。

お礼を言おうにも彼女は異世界に居てオレはむやみに異世界には渡れない。


なので部屋のミニ神殿に彼女のフィギアを納めた。

そして日々祈る。

彼女の幸せがなんなのかオレには分からないけれどせめて

退屈から逃れていますようにと。


まだまだガキなオレだけど彼女のおかげで少しは大人になれたと思えたから。

 人間関係は難しいですね。

家族であっても、親子であっても、兄弟姉妹でも。


惰性も依存もそれで乗り切れる時期があったりしますから

完全否定はできませんが肯定ももちろんしにくいです。


マモルくんはまだ中学生ですが親がいなくなったことで

大人にならざるを得ないです。

親が居てくれればゆっくりのんびり大人になって行くことを

楽しんでいられたんでしょうが・・


周りの大人のみなさんが彼を助けてくれることを祈りたいです。

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