198ページ 魔王城の夢。
オレは魔王城に居た。
リエラが魔王をしていた城。
場所はあの丸い中庭。
でも誰も居ない・・
入り口は分かってるので入ってみたけどホントに誰も居ない。
物音ひとつ聞こえてこない。
弟魔王に謁見した広間に行ってみた。
玉座の人影は彼女・・リエラだった。
「よく来たな、勇者。待ちかねたぞ! 」
なんかテンプレなセリフをおっしゃってます。
オレ・・従者じゃあないんですかぁ?
「折角私が雰囲気を出してやってるのにぶち壊すな!
魔王が玉座に居て勇者がやってきたらコノセリフだろうが! 」
あー・・彼女は魔王さんの所に下宿してたからトーゼンあの
山のようなゲームのコレクションの洗礼を受けたはずで・・
ま・・まさか・・こんなイタイ魔王になり果ててるなんて。
あのー・・コレってオレの見てる夢だと思うんですけど。
「そうだ! 良く分かったな。
私はお前がホントはこうなんじゃあないかと思ってる私だ。
あるいはこうであってほしい・・かもしれないな。」
オレ・・こんなイタイ魔王が好みだったのか・・(汗。)
「コレは夢だから思いっきりやっても死んだりはしない。
まあ、夢でも痛いとは感じるかもしれない。
なにしろ出演者が私だからな。」
オレの世界の夢は痛くないことになってますけど?
「痛みをお前が感じたいと思って居るなら痛いだろう。
死にたいと思ってるなら死ねるかもしれない。
だがお前は死ぬ気はないだろ? 」
そうですが・・なんで戦うのが決定事項なんですか?
従者で充分満足してるんですけど。
「もう私はお前の世界に居られないからな。
心残りというか願望が私の姿になってるんだろう。
従者じゃあない勇者なお前で私の前に立ちたかったんだろ? 」
う~ん・・確かに・・
散々相手をしてもらったけど彼女にはまともな対戦では勝てていない。
やっぱり一回くらいは勝ちたいと思ってたんだな・・オレ。
勝利条件は?
「もちろん、死ぬか戦闘不能かギブアップだ。」
ハハハ・・さっき死なないって言ってませんでした?
「言うな! 分かってるから!
勝った方が一つ言う事を聞くってことでどうだ?
夢だからなんでも叶うぞ。」
了承した。
でも内心では逃げ出したいとも思っていた。
けれど魔王の前からは逃げられない。
精も根も尽き果てるまで二人で夜を過ごすことになった。
まあ、夢ですからね。
なにがあろうと目覚めればチャラです。
だいぶゲームに毒されてますねえ、リエラさん。
もっともこの魔王リエラはマモルくんの願望だそうなので
現実のリエラさんとは違うかもしれません。
マモルくん・・夢でも勝てそうな気がしないんだけど。




