197ページ リエラ。
美少女元魔王は名前をガブリエラという。
元魔王なのに大天使の女性形の名前なのがなんだか可笑しくて
そう言ったら怒られた。
まあ、天使並にカワイイんだけど。
なのでリエラと呼んでいた。
〔ガブ〕は省略。
日本語は濁音をちょっと差別してる所がある。
キラキラとギラギラ・サラサラとザラザラなどなど濁点が
付くだけ語感が全然違うよね。
ガブだと噛みつかれそうだったし・・
ココへ留学してきたのは最強勇者の師匠に興味があったのと
オレに油断してて負けたせいだそうだ。
最強のはずがどうみても弱いオレに捕まっちゃったからね。
魔族の神さまが加護を下さってたのも意外だったようでココに来てから
あきれるほど何度も相手をさせられましたぁ。
まあ、マトモにやったら敵う訳もないんだけど。
レベルをリセットして全て最初からやり直しになってもお相手は続いてた。
弱っちいどころじゃあなく弱かったはずなのに延々とオレの相手を・・
アレは彼女の思いやりだったかもしれない。
今はなんとか7割くらいの力が戻ってきている。
体育館の中は外とは時間が違うのでそのあたりを有効利用させてもらっている。
摸擬戦でも実戦ほどではないけどレベルは上がるし対戦相手に
不自由は無いからね。
留学の期限が迫って来ても彼女の態度に変化はなかった。
いつもと同じ日常をいつものように過ごしていた。
ココの生活は楽しかったと言う。
「元の世界ではまだ子供のはずの私に誰も敵わなかった。
双子の弟でさえな。
ココに来てアノ師匠がとんでもない存在だと理解できた。
それだけでもココに来た価値はあったね。
上には上がいると言うのを実感できてなんというか
安心できたとでもいう感じかな。
勝負が実力だけで決まるものでもないというのもお前たちの
おかげで認めることができたよ。
お前にアレに閉じ込められた時は悔しさしかなかったが。」
あの世界に帰って何をする気なのか聞いてみた。
「うん・・魔王は弟に譲ったからもうすることは無いようなものだけど
弟が王道を踏み外さないように見張るくらいかな。
退屈といえば退屈かもしれないがソレは魔王をしてた頃もそうだったから
もとに戻るだけだ。
もし、私の世界に来ることがあったら寄ってくれ。
今より少しは強くなってるだろうからまた相手をしてやる。
ココの勇者の学校を見習って私も学校でも開いてみようか。
お前みたいな生きのいいチビがそうそう居るとも思えないが
少しは退屈を紛らわせられるかもしれない。」
そうしてふわりと笑う彼女はとても綺麗だった。
そうしてオレはその晩彼女の夢を見た。
彼女は『魔王』だった。
あー・・今頃になって美少女元魔王の名前が判明しましたぁ。
まあ、いろいろマモルくんに言われちゃったんで名前を
言いたくなかったのかもしれませんねぇ。
バラしちゃって叱られないかい? マモルくん。
神官ちゃんも帰っちゃったし元魔王さままで帰っちゃったら寂しいねぇ。
まあ、終章って書いちゃったんでコレも仕方のないことです。
前作でも思ったんですが終わらせるってかなりエネルギーの要る事ですね。
途中で何とか避けた夢落ちの誘惑に駆られてしまってます。
さて・・どうしたもんでしょうね?




