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バイトなあの人は珍しく謝って来た。
もっと前にあの男を捕まえて置けば禁忌のオーガなんぞの騒ぎを
引き起こすことも無かったと。
でもあの男も最初から計画して禁忌のオーガの製造法を
バラまいた訳じゃあないみたいだったしねぇ。
先の事を全部見通すなんて神さまでも大変なコトでしょう。
未来は不確定だからこそ未来なんだから。
流れの先が予想できることはあるんでしょうけどね。
全てが確定事項ならそれこそ神さまも必要ないことに・・
そんな話を聖女な奥さんが入れてくれたお茶をいただきながら
バイトなあの人とした。
まあ結局今まで通りできることを続けることにはなった。
世界樹のすべての世界を心配するのは無理な話だ。
それこそ神さまでもない限り・・・
それでも多少できるお手伝いが勇者の学校や救援依頼を受けることだろう。
〔勇者の学校〕は勇者をパーティで派遣するようになった。
体育館の利用者は増えている。
彼等は概ね好意的で依頼も引き受けてくれる。
多少の報酬というかフォローができるように聖女さんが基金のようなものも
造ったようだ。
召喚だとレベルが低いのに一人だけで呼ばれて滅茶苦茶苦労を
させられることが多い。
体育館利用者はそういう経験をした人が多いからわざわざ異世界に出かけて
依頼をこなすのはイヤかと思ったけどそうでもなかった。
持ってる力を役立てたいと思ってもココの世界ではそういう力は
むやみに使う訳にはいかない。
制限もあるし無いことになってるからね。
異世界からの依頼なら制限は無いので使っても誰も文句も言わない。
ココから依頼に行くなら一人でなくていいし他の仲間に救援を求めるのも簡単だ。
まあ、最後は師匠にお願いもできるしね。
魔王さんは神官ちゃんが高校生勇者にあげたペンダントの魔道具を
コピー、改造して派遣される連中に配ってくれた。
死亡必至の時にのみ一度だけ発動する帰還用の魔法陣が組み込んであったアレだ。
まだ、作動させた派遣者は居ないけどね。
バイトなあの人によると彼がココの担当になった頃より召喚事件は
減ってきているという。
「ゼロには多分できないだろうとは思うけどね。
君達が依頼を受けてくれてるせいもあると思うよ。
召喚の資料の廃棄とか陣の封印、破壊なんかも見つけた限りはしてるんだよ。
まあ、台所のG君みたいなところがあってねぇ。
根絶するのはなかなか・・ね。」
それでも減ってるのは嬉しかった。
無理矢理召喚されたことのある身としてはね。
オレだけじゃあなく皆もそう思ってたみたいだった。
口には出さなかったけど。
そんなことが日常になったことに違和感がない訳じゃあなかったけど
コレはコレで平和だと思っていいと思ったよ。
そうしてある日一年が過ぎようとしているのに気付いた。
神官ちゃんの留学の期限が来ようとしてたんだ。
一匹見たら30匹居るという台所のG君。
アレばかりはご勘弁!
私はハエより嫌いです。
ハエの王といえばベルゼブブって悪魔が有名ですよね。
G君のほうは悪魔と呼ばれるようになったのは
ベルゼブブ様よりずっと後のようなので、
まあごく最近と言ってもイイかもしれません。
でもこの新人さんも先輩に負けず劣らずな嫌われようで
それこそ好きな人が居たらお目にかかってみたいです。
ココの作品群にも結構登場してくれてますねぇ。
先輩のはずのベルゼブブ様・・負けてるかもしれませんね。




