183ページ 投資家。
体育館が増築されていた。
小部屋が三つほど。
常設の転移陣が二つづつ。インとアウトらしい。
この世界は召喚者の多い世界だ。
召喚されて帰って来た召喚者たちのフォローをすることにしたんだそうだ。
転移陣の先にはやっぱり体育館があるという。
なるほど・・余計な力のガス抜きなんだね。
まあ、お試しで三ヶ所を造ってみたんだそうだ。
そこで解消しきれない時はココの最強勇者に面倒を見てもらえってことらしい。
でも師匠は・・お留守が多いんですけど。
あー・・バイトなあの人、きっと確信犯だね。
ココにいる連中に相手をさせようって腹だ!
皆にバラしてやる!
でも、みんな平気だった。
同じ様に勝手な召喚の犠牲者なので同情もあるらしい。
他国の人間でも関係ないみたいだね。
異世界への召喚はなぜかオレ達の国からが一番多いそうだ。
でも、他の国からってのも無い訳じゃあない。
オレみたいに師匠な勇者さんに助けてもらったヤツも結構いた。
一体師匠って何回召喚されてるんだろう。
何処かの商事会社の営業職だったはずだけど仕事は大丈夫なのかねぇ?
そう思ってたら師匠が会社を辞めたと言う。
オレ達が迷惑を掛け過ぎたかとあせったけどそうではないと
奥さんな聖女さんから説明された。
社長の一族はかなりの割合の株を持っていた。
でもどうやったのか師匠の叔父にあたる人が乗っ取りを仕掛けた。
なので師匠はお父さんの遺産だった叔父さんの会社の株を売り渡すことで
乗っ取りを回避。
それほど多いって訳でもなかったらしいんだけど亡兄のものには
コダワリがあったらしい。
社長は一族の中にも乗っ取りに手を貸したヤツがいたってことでショック甚大。
なので一族経営の見直しを画策。
当然会社のアチコチが大揺れ。
師匠の先輩で上司の方はそんな会社に嫌気がさした。
なのでオーナー一族に振り回されない自分たちの会社を設立するということに。
師匠はそれに誘われて新会社に付いて行くことにした。
社長は引き留めたそうだけど先輩には恩もあるのでなんとか
退社を認めてもらったそうだ。
う~ん・・大人は大変だねぇ。
滑り出しは順調だそうで子供の心配は必要なさそうだ。
意外だったのが奥さんだった。
なんと新会社の役員の一人だという。
大口の出資者なんだそうだ。
奥さんってお金持ちだったんだね。
「ただのミセスワタナベよ。
ウチは居候もいるからちょっと収入に余裕が欲しかったのよ。
ローンは遺産の株のオカゲで無いんだけど予想外の出費がね。
ホント・・突然家族が増えたりするんだもの。」
あー・・留学生の面倒はこの人がみてるんだった。
いろんな負担があるんだろうなぁ。
ところでミセスワタナベって?
師匠は渡辺さんじゃあないですよね。
小口の外国為替証拠金取引を個人でしてる人のことだそうだ。
コレはFXってやつらしい。
要するに投資家だったんだね。
投資なんて子供のオレから見たらそんなのはギャンブルとどこが違うのかすら
分からないんですけど。
普通に専業主婦なのかと思ってたらFXだけじゃあなく
いろんな投資をしてる投資家だった。
バイトなあの人の助力がある訳じゃあないそうだけど彼女は実は
加護を色々持っている。
そのあたりが微妙に取引に影響してるらしい。
まあ、自分の贅沢のために投資してる訳でもなさそうなんでココはスルーだね。
そうして日々が平穏に過ぎて行った。
召喚されることも無く期末の試験も乗り越えた。
ダチどもにも僅差で勝てたので今回は上々だね。
イケメンのスパルタ教室は先生方が参観に来てたりした。
まあ、確かに気になるよね。
みんな前回の試験で点数上げちゃったから。
夏休みに入ったとたんに召喚されてしまった。
長期休暇はのんびり弟妹と遊ぼうと思ったのに・・
今回の召喚はヒーローさんとチャラ男とチャラ男父、そしてオレだった。
チャラ男以外はまだレベルがさほど高くない。
いや、低い。
チャラ男君にだけ負担が掛かりそうでなんだか不安なマモルくんなのでした。
そういえばマモルくんは鈴木だけど師匠とかダチどもとか
チャラ男くんイケメンくんの名字って付けてなかったですねぇ。
まあ、メンドイというかテキトーに脳内変換してほしいとかそんなところです。
変な名字を付けちゃうと可哀そうな気もしますしね。
ミセスワタナベはイギリスで勝手に付けられちゃったみたいです。
まあ、単に主婦な個人投資家が多かったってだけらしいです。
関係ないホントのミセス渡辺さんたちには迷惑な話ですよね。
実家の名字は地名が元になってるものですがどうも一族のみしか
使ってないようなんです。
ネットの名字のサイトで見たら全国で30人以下でした。
一発で覚えてもらえるのはいいんですが下の名前のほうを
いつまでたっても覚えてもらえないという珍現象が・・
結婚で名字が変わったのに旧姓でしか呼ばない友人の多いこと多いこと・・
私の下の名前・・忘れてるんでしょうねぇ・・




