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179ページ 執念。

 オレの後で召喚された闘士はどーやら召喚主の眼鏡にかなったようだった。

召喚時点でココのトップクラスのレベルだった。

魔法剣士だけれどどちらも中途半端にはなっていない。


それでもココの最強闘士には敵わなかった。


最強闘士アレは戦闘狂と言っていい人物だね。

首環は付いていない。

でも首輪の付いたお姉さんをいつも連れている。


召喚主は彼に勝つ闘士を連れてくればあのお姉さんを

自由にしてあげられるんだそうだ。

ほ~・・彼女の自由のためにオレ達召喚者の自由は奪われてる訳ね。


でもお姉さんは喜々として最強闘士に付いて回ってるように見える。

召喚主の恋人だったとかじゃあないみたいなんだけど。


まあ、他人の事情はともかく逃げ出す前にあの召喚理由の最強闘士に

お手合わせ頂いてみよう。


オレの得物はココの世界の武器で薙刀みたいな代物だ。

剣もできるけどチビなんでリーチが足りない。

動きでカバーできないことも無いけど最強闘士には無駄だね。


ほとんど魔法を使わないで来たのは不意打ちを狙ってるのと

器用なだけのガキに見せておくためだ。

格上の相手じゃあ油断をさそうのが一番だから・・


ある力士は横綱に勝つために何度も同じ技で挑んだんだそうだ。

今度も同じ技で来ると横綱が思い込んだ頃スキを突いた別の技で

勝利をもぎ取った。

一勝のために何度も負けることを選んだんだ。


横綱がそれだけ強い人だったってことも有るけど一度だけでも勝ちたいという

執念はスゴイよね。


そこまでの執念を今のオレが持ってるかは自信がないけど勝たないと

帰還手段をあの召喚主が持ってるかどうかの確認ができない。


勝手な召喚を何度も繰り返してる召喚主を放って置けないし召喚者達も

できたら帰してやりたいし。


タダのチビなガキじゃあないと認識された頃最強闘士と対戦することになった。

首環はもう外せる。

勝てれば召喚主の執念にもケリが付けられるだろう。


そう・・勝てれば・・

 「彼を知り己を知れば百戦あやうからず。」『孫子・謀攻』

まあ、おなじみの孫子です。


コレを最初に教えられた時相手が強すぎるって分かってたら

百戦どころか一戦もできねぇじゃねえか! って思いましたよ。


でも、戦わないで逃げちゃうとか戦いにならないように

陰謀を巡らすとかもあるんだよね。


まあ、時々負けを承知で戦っちゃう人も居るから人間は面白いんだけど。

戦闘は負けでも味方を逃がせたらオッケーなんて場合もあるし。


さて、レベルは低くても経験はバッチリなマモルくん。

最強さんに勝てますかね? 

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