177ページ 保護者。
オフクロの方のばあちゃんが家へ引っ越してきた。
オレと弟妹の保護者は今日から彼女と言うことになる。
弟妹を養子にとか別の親戚に預けるとかの話も出たけれど
やっぱり一緒に居たいというオレの言葉でばあちゃんが
保護者になってくれたんだ。
オフクロの実家は賃貸に出したそうだ。
思い出の詰まった家だったろうに・・
「いつまで生きて居られるか分からないけどあの娘の代わりに
お前たちの側に居させてちょうだい。
迷惑かもしれないけどね。」
オレ達は親たちを失ったがこの人は娘を失った。
ばあちゃん・・迷惑なことなんて無いよ。
一緒にあの二人の話をできる人がいてくれたら弟妹にも少しは
教えてやれることが増えると思うよ。
しばらくマスコミがウロチョロしたが次の事件事故が起って
すぐに波が引くように消えて行った。
オレは元の生活に戻った。
レベル1だけど。
聖女な奥さんとバイトなあの人、魔王さんの三人でオレの
〔魂呼ばい〕の能力を封印してくれた。
三人がかりだなんてドンダケなんだ・・
でも・・聞けないよな・・
体育館のみんなは何も言わずにオレの修行に付き合ってくれる。
どうすればイイのかは分かってるのでレベルは効率よく上がってきている。
まだ、新人留学生の足元にも及ばないけれど。
師匠も何も言わなかった。
でも、稽古は付けてくれる。
体育館で動いているとオレは心が鎮まっていく気がした。
航空会社を恨む気持ちもあの日に限って二人で出かけたことも
助かったのがオヤジのオカゲだと知らない乗客たちのことも。
そんなある日、オレは召喚された。
チビが付いて来ていたので隠蔽と隠密を掛けて置いた。
異世界だ・・でも勇者としての召喚ではなかった。
召喚されるのは最強の戦士のはずだったという。
召喚主はその最強戦士を闘技場で戦わせるのが目的だそうだ。
レベル1になる前ならちょっとは最強に近かったかもね。
首輪が付いていた。
試してはみたけど外れなかった。
少しレベルがまだ足りないらしい。
闘技場でさっさとレベルアップして首環を外そう。
弟妹やばあちゃんのところに早く帰ってやらないと・・
ばあちゃんが保護者でも自分が家長な気分のマモルくんなのでした。
親の死は子供としてはショックは大きかったです。
自分よりもっと若いのに親を失う人もいるのに・・
死は平等で平等ではないものですね。
父も母も命日は六月です。
六月はツライ月になってしまいました。




