173ページ 中学生。
毎度のことでオレ達と神さまとの会話は全部モロバレになっていた。
あー、驚いてるねえ召喚主さんたち。無理もないけど。
巫女さんは落ち込んでいた。
巫女なのに神さまのお言葉が聞こえてなかったので。
まぁ、誰でも初心者な時期はありますよ。
で? 相手の敵は?
は!? オーガ!?
オーガが中心の軍団がなぜかココの国を目の敵にするように
攻撃を仕掛けてきているという。
軍団・・・
コレはまさかあの禁忌なヤツってこともあるかも・・
今まで誰かオーガを倒しましたか?
あー・・オーガが出てくると逃げちゃってたのか。
それじゃあ分かんないよな。
それでジリジリと国を浸食されちゃってると。
ということで情報収集。
オーガの軍団の規模。この国の地図。軍団がドコから来たか。
う~ん・・多勢に無勢か・・
まあ、オレの雹とかみんなで電撃を落とすとかできるけどね。
問題はココのオーガがあの禁忌の代物かどうかってことだ。
確かめてる間にアレを造ったヤツとか操ってるヤツに逃げられる可能性もある。
前回は逃げられたと言っていいと思うし。
なのでココの神さまにお願いして師匠に応援に来てもらうことにした。
あの禁忌なオーガのことは優先事項になってるそうで師匠は速攻で来てくれた。
なのでオレたちはオーガの軍団の相手。
師匠は敵の本部担当ということになった。
召喚主たちは神さまの要請で来たとはいえ全然強そうに見えない師匠に
とまどっていた。
まぁ・・最強勇者にはとても見えないからねぇ。
けれど師匠はそれこそ何でもアリな人だ。
バイトなあの人によると神さま並かそれ以上の実力の持ち主で本人にその気があれば
神さまになるのは簡単なんだそうだ。
オーガの軍団は勇者が五人と魔法剣士もいるオレ達にはさほど
時間のかかる相手ではなかった。
雹と雨のように落とした雷撃でほとんど殲滅できたので。
やっぱりこのオーガの半数ほどが禁忌のオーガだった。
モチロン逃げ出したヤツラもいたけど本部は師匠が押さえたと言う連絡が
さほど時間もたたずに来ている。
どーやったのか・・
うん・・知らないほうがいいかもしれない。
主犯はこの国の元王族だったそうだ。
あまりに王政が過酷だったせいでクーデターが起き王さまが
すげ替えられたんだそうだ。
割を食った王族貴族は数知れず。
中には復讐を考えるヤツがいても無理は無い。
禁忌なオーガをソイツに使わせたのはココの魔導師でドコから
アレを造る方法を手に入れたかはこれから調べることになったそうだ。
実はもう死んでるんだけどね。
死ねば国の連中から逃げられると思ったんだろう。
でも神さまからは死んでも逃げることはできない。
魂自体が消滅でもしてしまわない限り。
仏様の手の中の孫悟空のようなものだろう。
ココのことはココの人たちで解決するというのが理想だと
ココの神さまもおっしゃっていた。
それを強調してもう召喚はしないようにと召喚主たちを説得した。
ココの人たちは世界に穴が開くなんてことは知らなかったし切羽詰まってる時に
レベル1の勇者を呼び出してもどうしようもないからね。
今回はたまたま運が良かったに過ぎないと強調した。
勇者はココの世界にもきっと居るはずなので見つけて養成してください。
結局、師匠の送還陣で元の宿の隣の神社に戻って来た。
バイトなあの人なのか師匠なのか分からないけど時間調整がされたようで
ほんの十五分ほどだった。
結局イケメンに捕獲されて僧侶な先生に説教された。
異世界を救っても師匠や神さまのお手伝いをしてもこの世界だとオレ達は
勇者でもなんでもないタダの中学生なんだと実感したね。
そうしてソレがなんだか嬉しいと思ったんだよ。
オレ達の世界がココだってこともね。
敵の魔術師は多分自分の口封じのために死んだんだね。
でも、相手は神さまだもんねえ。
死んでも逃げられないんだ。
コレで禁忌なオーガをバラまいてたヤツが見つかると
イイんですけどね。




