172ページ キライな魔物。
召喚場所は山の中腹だった。
小さ目の社風な建物と学校の校庭くらいの広場。
その社の前に設置された祭壇のようだった。
なんだか以前生贄に召喚された時を連想しちゃったよ。
あー・・チャラ男も苦虫を噛み潰したような顔だ。
神主さんみたいな人が二人。
山伏みたいな人が二人。
そうして巫女さん風で小学生低学年な感じの女の子。
「召喚は成功・・なんでしょうか?
勇者を一人だけ・・のはずだったのですが・・」
「いや・・勇者ではない者も混じっている。
全員勇者ならまだ分かるのだが・・・」
「でも、一人でないならかえって目的を果たし易いかも。」
「どうすんだよ! 人数がいてもこんなガキどもだなんて!
ヤツラに対抗なんかできるのか? 」
「みんな静かに!
ココはあなた方の世界とは違う世界です。
突然のことで驚かれたでしょうがあなた方を勇者として
召喚させていただきました。
どうかこの世界を救って頂きたい。
我々にはもう他に手段が残っていません。
勝手なお願いだと言うことは分かっていますが
なんとしてもこのまま負けるわけにはいかないのです。」
それって勇者が一人でできることなんですか?
「昔の文献によれば以前の勇者はこの世界の人間を仲間として
敵を討ち果たしたそうです。
召喚は一人だけとその文献には出ていました。」
なるほど、ゾロゾロ出て来るなんて考えてなかったんですね。
我々が引き受けなかったらどうするんですか?
もう一度召喚を試しますか?
「魔力は使い果たしました。
魔石もありったけ使ってしまったんです。
もし、できるとしたら最低でも一年後です。
お願いします! コレが最後の希望だったんです。」
召喚できても最初から強いとは限らないでしょうに。
ココの神さまにお伺いとかされなかったんですか?
「神さまにお伺い・・ってお告げのことでしょうか?
そこまでの巫女はもうおりません。
先代はかなりの方だったそうですがもう亡くなられていて。
私はこの召喚のために巫女になったのでまだお告げを頂いたことは無いんです。」
ココはどう見ても神域だ。
ならばお祈りしてみよう。
ということで召喚者全員でお祈りした。
ちゃんと反応はあった。
白い部屋だった。
なぜか畳敷きで丸い卓袱台と座布団が並んでいた。
神さまはなんだかお稲荷さんの関係者なあの粋なお姉さんによく似ていた。
「あー・・まあ、座ってもらえるかな?
巫女がまだ未熟でね。
私の声は聞き取れなかったようだ。
一応召喚を止めようとはしたんだけどね。
召喚しないでも解決はできたはずなんだがどうも自信を失ってるみたいでねぇ。
問題を早期に解決となると君たちが引き受けてくれると有り難いんだよ。」
ご自身で介入なんてことは・・・
「うん・・ソレでもよかったんだが大枝の管理神から極力神の直接介入は
控えるようにと通達が来てる。
あのじいさんに面と向かって逆らえるヤツはハッキリ言って
数えるほどしかいない。
あのバイトなアレとか君に加護をくれたアレとかね。
自分達のことは自分達で、というのが理想なんだけどね。
ちょっと手伝っていってほしいんだよ。
バイトなアレには連絡を入れておくからさ。」
帰れるんならちょっとくらいはイイだろうという皆の総意で
引き受けることになった。
でも・・ちょっとじゃあ無かったんだよ、コレが!
なんでこんなところにまで来てオーガにまた会うんだよ!
もう勘弁してよー!!!
ヤダ! またオーガだよ!
マモルくんでなくてももうウンザリだよね。
神さまはココの人たちで「できるはず」って言ってます。
でもココに人達は「できない」と。
ともかく引き受けちゃったもんねぇ。
一人じゃあないから大丈夫だろうとは思うけど。
ともかくガンバレ! マモルくん。
夜明けまでに古都に戻らないと修学旅行が台無しだよー。




