161ページ イタズラ心。
王さまって普通お城から動かないよねぇ。
ゲームでも勇者が最後に魔王と戦う場所も
大抵は魔王城なわけだし。
なのにココの魔王さまはわざわざ人の国の王城までお出ましになりましたぁ。
もービックリ仰天! だね。
「突然のお出ましに驚きが隠せなくて失礼をお詫びします。
おいでの理由をお伺いしたいのですが? 」
イケメンはこういう場面でもさすがだねぇ。
ココの人達は皆ふるえあがってるのにさ。
「ご丁寧なご挨拶、痛み入る。
こちらこそ先触れも無い訪問で礼儀に反している。
多少のことは目をつぶってもらえると有り難い。
ココに来た理由は君たちが拘束した魔族だ。
ソコに隠蔽と隠密を掛けて連れてるだろう?
ソレを引き渡してもらえないかな?
行方が掴めなくて困ってたんだよ。」
彼のことは感知済みらしい。隠蔽と隠密を解いた。
「人の国は彼がこもっていたダンジョンからの魔物の氾濫で難儀しました。
彼がダンジョンボスへかけた妙なストレスのせいです。
おかげでオレ達も召喚なんかされて閉口しました。
彼があなたから逃げ出した理由をお教え願えますか?
彼に聞きましたが「企業秘密」としか言わないんです。
理由を知りたいと思うのは僭越でしょうか?」
「・・・・・いいだろう。
君たちは問題を解決した。
原因を知るくらいの報酬はあっていいと思う。
でも知っていいのは君たちだけでソッチの首輪付きの連中には
そんな権利は無いな。」
そう言うと音響遮断の結界を軽く張った。
あー・・くだらないと言えばくだらない理由だったんだけど。
なぜかまだそんな歳でもないのに抜け毛が激しくなった魔王様。
若ハゲ一直線なのがイヤで復活のための魔法の儀式を実行しようとしたところを
引きこもり魔族がイタズラ心で妨害。
でもそのはずみで邪魔だけで済まずに魔王さまをツルッパゲに!
城中追いかけまわしたけれど逃げられておまけに隠れたようで追跡不能。
ダンジョンまでは感知が及ばなかったらしい。
被り物で隠してるのでツルッパゲはまだバレてないそうだ。
ツルッパゲのほうが男性ホルモン優位な証拠だということで
かえってモテちゃったりする人もいるのにねぇ。
イケメンはちょっと目隠しを置いて彼の頭に回復魔法を掛けた。
う~ん・・効いた気配がない。
魔法の儀式の影響が残ってるのかな?
イケメンの回復魔法はオレ達の中では一番強力だ。
もうほとんどの欠損部位の復活もできる。
まだちょっとシンドイようだけど。
なのでイケメンはアイテムボックスからなにやらアヤシイ薬を出した。
魔王さまの頭に塗った上で回復魔法をもう一度。
うん! ・・効いたね。
・・・効きすぎじゃないの? コレ!!!
でも、魔王さまは満足されたらしい。
上機嫌でお帰りになった。
イケメンになにやらミニな宝箱を下さって。
あー・・でも・・・
置いてっちゃったよ! 引きこもり魔族・・
どーすんの?! コイツ!
同窓会に出たらなぜか若ハゲ率が高くて「オレの方が! 」と
自慢なのか愚痴なのか一頻り男連中は盛り上がってました。
A国の王子さまはイケメンなのにハゲてきてます。
それほど気にしてるようにも見えないのがかえって潔くてイイですね。
まあ、じぃちゃんはヤカン頭だったんで私はハゲ耐性が
高いのかもしれませんが。(笑。)
ちなみに兄たちの増毛剤コレクションはまた増えたようです。
諦めると言う言葉は彼らの辞書には多分存在しないんでしょうね。




