158ページ ボス部屋到着。
ヒーローさんはホントは魔法剣士だった。
チャラ男といっしょだね。
まあ、剣も魔法も使えるので勇者にしておいてもバレにくいだろう。
オレ達はいつもの職業でヒーローさんに合わせて
レベル1ということに。
今回の相手はダンジョンのボスだそうだ。
ダンジョンから魔物が溢れて来て対処に困っているという。
入り口が何か所かあってほとんど塞いであるのだけれど
塞ぎきれなかったところから溢れた魔物はココの騎士や
兵士達で何とか抑えてはいるという。
それでも大元のダンジョンボスを倒さない限りは
魔物の氾濫は終わらないのだそうだ。
占い師や神官や巫女さんなどがいろいろ手だてを探して勇者の召喚
と言うことになったらしい。
やれやれ迷惑な・・
ヒーローさんは帰れるのかどうか聞いてるけどダメだね。
例によって首輪なんか付けられちゃってるからね。
まあ、外せるからしばらくは着けといてもイイか。
オレ達が中学生なのでヒーローさんは責任を感じてるらしい。
彼はこの春から社会人でアルバイト感覚だった役者の仕事を本格的にすることに
したんだそうだ。
スタートから主役が舞い込んで来たラッキーボーイだね。
彼は帰還手段があると信じて依頼を引き受けた。
だけどレベル1だからねぇ。
おなじみの特訓コースだね。
でもまあ、どこの連中もせっかちだねえ。
一週間でダンジョンへ放り込まれたよ。
多分オレ達だけじゃあないんだろうな。
放り込まれた勇者のパーティは・・
ダンジョンの周りには魔物が溢れているのだけれど
以前に使っていた攻略のための魔法陣が残っているんだそうで
見張り付で送り込まれた。
もっとも見張りさんはさっさと帰っちゃったけどね。
階層は50階だそうだ。
以前の攻略成功は20年も前だそうだけれどその時の
報告資料を色々見せられた。
今回に役立つかどうかは分からんけどね。
できるだけヒーローさんにトドメを刺させるようにしながら
ダンジョンを下りていく。
資料は大体正しいようだ。
最短距離を通って短時間で攻略する。
ヒーローさん以外はレベルはそれなりに高いから苦労は無い。
彼の疲労度を見ながら進む。
安全地帯もあるので休憩も楽だね。
イケメンがこまめに回復魔法を掛けている。
ガキなオレ達に負担をかけていると気にしてるようだ。
まあ、彼は成人でオレ達は中学生だからね。
こんなところで戦わされること自体が彼には有りえない事のハズなんだけど
オレ達に責任を感じることで自分を支えてるのかもしれない。
ヒーローさんのレベル上げをしながら最下層の五十階までたどり着いた。
ボス部屋の前で休憩。
ヒーローさんから一言。
「君たちってもしかしてオレが思ってるより強いのかい? 」
あー・・まあ気づかないほどヌケてもいなかったらしい。
アナタの負担にならない程度には。
オレたち召喚は初めてじゃあないんですよ。
一応経験はアナタよりあります。
あんまり気にしなくてもイイですよ。
ダンジョンも初めてじゃあないです。
回復魔法ならお任せを。
まあ口々に言っちゃったねぇ。
「まさかと思うけどオレより強いとか? 」
レベル上げをしたとは言えまだまだ初心者なんだよね、彼。
オレ達ホントは勇者の弟子なんです。
師匠には遠く及びませんけどね。
ともかくココのダンジョンボスを倒してから詳しい話をしますよ。
ということでボス戦となったんだけどボスが資料と違っていた。
ココのボスは首なしの騎士「デュラハン」だったはずなんだけど
居たのは眠そうな顔をした〔魔族〕だったんだ。
おやぁ・・なんだか怪しげな方がいますねぇ。
魔物の氾濫の原因さんですかね。
ヒーローさんは鈍い人じゃあなかったみたいです。
自分が勇者じゃあないって分かったらどんな顔しますかね。
マモルくん・・大人にイタズラしちゃあダメだよ~。




