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140ページ 必要のない力。

 ストーカーが誕生してしまった。

面倒くさい転校生勇者だ。


召喚されてもほとんど戦ってないみたいだったけど

〔勇者〕の自信だけはタップリ持って帰って来たんだね。

でも、そんなのは大したことは無いと言われて大分へこんでたんだけど・・


クラスの半分くらいが召喚の経験者だと知って自分だけは特別だという

自信が砕けたようだ。

そうしてオレ達の後を付いてくる。


ココでは勇者の力も魔法も召喚1回だと大したことは無い。

浮かれ気分で勇者をやってられるのは異世界でも最初の頃だけだ。

普通の学生で居た方がいい。

そう言ったんだけど・・・


付いてくるんだよねえ・・


ビックリマンションの前で師匠に会った。

さすがにオマケなストーカーを見咎められた。

どうしたものか相談してみる。

ともかく話してみてくれることになった。


君が言ってた〔魔族の勇者〕は多分この人だと教えたら

素直に師匠の部屋に付いて来た。


浮かれた勇者の自信を砕かれてどうしたらいいか自分でも分からなくなってると言う。

普通に中学生をしてればいいのに・・


勇者さんも

「ココは異世界じゃあないからね。

勇者の力を持ってても使う処はハッキリ言って無いんだよ。

世界自体に制限が掛かってるから魔法も力も無意味に近い。

でも、君はココの住人だからね。

ソレを忘れないで余計な力は使わない方がいいんだよ。」


でも、オレ、有るんですよ、力が! 

勇者なんだからコレを正義のために使いたいんです。


「ココではそういう力が制限されてる。

多分そういう力無しで世界が運営されたらどうなるかという

神さまの実験場なんじゃあないかと思うね。

この世界自体がね。


だから君がむやみにその力を使うのは神の思し召しに逆らうってことになる。

正義はその力でないと行使できないってものでもないよ。

街のお巡りさんだってちゃんと正義の味方だろ。」


ココも異世界もゲームじゃあない。

力があるからってむやみに使っていいわけじゃあない。


結局面倒くさい転校生は持て余している力を体育館で発散させることになった。

ヤレヤレ・・また増えた・・



ビックリマンションも最近はオレの家と同じように召喚除けの結界が張ってある。

師匠もこの頃は玄関から召喚されるなんてことは無くなったそうだ。


だから油断したんだな。

まったく〔安心〕って言葉はフラグなのかね? 


転校生はめでたく二度目の召喚とあいなった。

ビックリマンションの少し先の路地だった。

召喚陣が光ったので魔力のヒモを飛ばして陣から引きずりだそうとしたけど

反対に引きずり込まれた。


他の連中が見てたからバイトなあの人や師匠には連絡してくれるだろう。


さて、転校して来たばかりなのに気の毒に・・

首輪が付いてる自分に気が付いたらどんな顔をするのかね? 

 能力も使いどころ次第ってところですねえ。

勇者の力は必要ない世界ですもんね、ココは。


さて、また召喚されちゃいました。

ヒヨコな勇者とたのしいお散歩・・と行きますかね? 

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