127ページ 廃嫡。
王さまは王子を廃嫡した。
王子は王さまにはなれない。
王さまになっても誰も付いてこないだろうと判断したようだ。
他の国に対しても嘘をついてたことになる訳だし。
その上で改めて勇者の彼女にワビた。
王子の手足は現れた魔王にやられたことになった。
そして王子には隷属の首輪が付けられ解除は大神官にゆだねられることになった。
神官ちゃんとイケメンは魔力の回復薬を使って今度は王子の手足を復活させた。
そこからはオレ達が交代でイジメることになった。
ココの世界の勇者は彼なのだからコマ切れにされても困るだろう。
ゲンコツ女子と元魔王さまが一番キビシイと思えたのは多分気のせいじゃあないな。
女の子を怒らせるとコワイと実感しちゃったね。
ギリギリの睡眠時間で食事とトイレ以外は特訓し続けた。
回復魔法も使い放題に使いまくったよ。
でも、強くなってはいくのだけれど何かが足りない気がする。
なんなんだろう・・・
「アレは強くなっても魔王には勝てないだろう。あのままではな。
勇者に生まれたことがどういうことか理解していないし理解しようとも思っていない。
王太子の立場を失ったのが自分のせいとも思ってないしな。」
元魔王さまは辛辣だ。
オレ達も勇者になりたくてなったわけじゃあないけど。
あー・・逃げてるんだ・・
王子だということを言い訳にした。
召喚も前例があるから自分だけ責めるなとも言った。
自分に都合の悪いこと全部から逃げている。
でも・・コレは矯正は難しいだろう。
今だって特訓させられてるのは罰くらいにしか思ってない。
特訓することがコマ切れになる未来を回避することに繋がってるとは
分かってないみたいだし・・
後ろも見ずに逃げなければいけない時があるのも分かってる。
けれど最初から逃げることしか考えていないのも困る。
ゲームですら絶対に逃げられない場面は設定されているのだ。
現実は逃げられない場面の連続だったりもする。
そんな時に逃げることだけを考えていたらどうなるか・・
だけどオレ達は教育者じゃあない。
鍛えてやれるのは勇者としての力だけだ。
イケメンはココの大神官と何か話し込んでいた。
大神官も王子の様子には何か感じるところがあったらしい。
オレ達の〔勇者特訓〕の他に神殿の神官の修行もさせようということになっていた。
コレで心のほうも鍛えられるといいんだけど。
オレ達が帰ってからも修行が継続できるように王さまや大神官に要請しておこう。
〔勇者〕はちゃんと〔勇者〕でいてほしいからね。
奥の手を封じられたヒーローに敵が問いかけます。
お前にはもう手はないのか?と。
答えは「あとは勇気だけだ!。」
「勇者の武器は勇気そのものだ。」ってのもありましたねえ。
なかなかカッコイイ台詞です。
勇者なのに勇気をふりしぼるなんてことは無かった、
勇気があるのかどうかすら意識したことも無い。
この王子さまは多分そんな人なんでしょう。
眠っている勇気が目覚めてくれるといいんですけどね。




