125ページ 王子。
神殿は何処の異世界でも特別な場所だ。
祈りの聖力を蓄積することもあって時々奇跡が起きたりする。
力が効率良く使えて効果も大きいし余波も漏れにくい。
なので依頼の件は神殿で行うことになった。
勇者の女性と婚約者の王子さまに来ていただく。
まあ、お供がゾロゾロだぁね。
魔王を退けたというなら安全になってると思うんだけど。
神官ちゃんとイケメンは神殿を見学と言いつつ調べて
施術に最適な場所を割り出した。
大神官が神殿の儀式を行う祭壇の有る広間。
普段は閉まっていて儀式とお掃除の時だけ開けるんだそうだ。
まあ、祭壇にはふさわしい場所だね。
勇者の彼女はほとんどしゃべらない。
両手首から先と左の膝から下、右も足首から先が無い。
ココまでやられてよく魔王に勝てたねぇ。
魔術で勝ったのかな?
神官ちゃんとイケメンの二人で施術。
メインが神官ちゃんでイケメンが補助。
イケメンも欠損部位の復活はできるけどまだほんの
小さな部分だけだ。
でも補助というか術の下支えなら大丈夫だという。
どうやら神官ちゃんの才能のほうが微妙に上らしい。
見ていて気持ちのいいものじゃあないからなんとなく
目をそらしていた。
なので対応が遅れた。
高校生勇者の方が早かった。
勇者の彼女は治った手足を使って王子から剣を奪うと
王子の手足を切り落とした。
自分がなっていたのと同じ姿に王子をしてしまった。
そして王子に回復魔法を掛けて止血しながら
切り取った手足を火魔法で灰にした。
高校生勇者とオレに取り押さえられても抵抗しなかった。
なぜ? 婚約者なのに・・・
「王子のステータスを見てみなさいよ! ソレが理由よ! 」
見えない従者たちも居るのでオレが魔法で見えるようにした。
普通に〔王族〕なステータス・・と思ったら書き換えてある。
なんと〔勇者〕だった!
「この世界の人の国全部に要請して探し回っても見つからないから
最後の手段で私を召喚したって言ったのよ。
済んだら帰してくれるって言ったし翻訳の首輪のはずが隷属の首輪だったし、
だいたい婚約者ってなんなのよ!
承諾してないし、あなたの本命は侯爵夫人でしょ!
旦那さんを殺そうと二人で画策してたのも知ってるのよ! 」
彼女の首元はスカーフが掛かってた。
首輪を隠してたのか・・・
なるほど、首輪を発動される前にやっちゃった訳か。
ココの勇者で王子なのに魔王と戦う気は無かったんだね。
よくもまあ、コレで勇者だったなぁ・・・
彼女の怒りももっともだね。
彼女を魔王と戦わせて済んだら人気取りに結婚。
彼女の欠損部位の復活に尽力したとなれば受けもイイかも。
落ち着いたころに彼女を始末してそのころには未亡人な侯爵夫人を後釜に・・か。
再婚なら咎める人も少ないと踏んだのかな?
ともかく首輪は外しておこう。
あー・・みんなショックは大きいよね。
コレってどうしたもんだろう。
戦う勇気もないのに勇者な王子さま。
まあ、なりたくなくても召喚で勇者にされちゃった
彼女にしてみれば怒りの的にしたいよねぇ。
さて、コレは誰がどうすればいいのか・・・こまったなぁ。




