12ページ 全員勇者。
う~ん、困った。
また同伴者付きだよ。
しかもコイツらは小学校の時の同級生だ。
三人とも勇者召喚されたと浮かれてやがる。
首輪に気づいていないのか?
ステータスの隠蔽と書き換えはもう済ませた。
寝ぼけてるフリをしながら。
他の連中は職業が〔勇者〕のままだがオレは魔術師にしといた。
少しは役にたちそうなフリくらいはしとこう。
連中の一人の兄貴がゲーム会社勤務とかで発売前のゲームを試せると
誘われたまでは良かったがヌルいゲームであくびが出ちまった。
出ちまったところで召喚された。
オレの召喚にコイツらを巻き込んだのかと思ったがどうも違うらしい。
まとめてパーティ状態での召喚のようだ。
全員勇者なパーティってバランス的にどうなんだ?
浮かれてる連中にあきれながらも質問してみる。
戦う相手ってやっぱり魔族とか魔王なんですか?
「違う!
ダンジョンの魔物だ。
最下層のボスを倒せばダンジョンが消滅する。
増えすぎて魔物があふれだすのを止められる。
ダンジョンの数が増えすぎて困ってるんだ」
なんでそんなに増えちゃったんですか?
「分からん!
魔王と魔族をこの大陸から追い出したのが原因だと言う学者もいたが
証拠は無い」
あー、多分ソレって当たりだろうな。
自分達に都合の悪いホントのことって認めようとはしないのが人間だからね。
そうか、魔王と魔族は追い出されて居ないのか。
じゃああの〔魔族の勇者〕さんが来てくれる可能性は低いよな。
う~ん、帰れるのかね?
ともかくみんなレベル1と言うことで即! 特訓開始!
回復魔法をガンガンかけられながらのシゴキの連続。
魔術師のフリしてるので剣術は上達しないフリ。
回避は上達してもイイよね。
ところがちゃんと魔法の師匠も準備済み。
実力はともかく教えるのは上手い人だった。
ゲームの魔法ですら覚えの悪いダチどもに懇切丁寧に教えてくれた。
初級は楽々クリアさせたのには驚いた。
学校の教師どもに見習わせたいなんて思っちゃったよ。
前回は三日だったが今回は一週間シゴかれた。
できたばかりはレベルも低くかろうということで
新しめのダンジョンへお供(見張り)付きでGO!
多分オレ達が失敗しても次を召喚するだけなんだろう。
だけどそうなるとオレ達の世界に穴が開いてヤバイらしい。
少なくともアノ勇者さんはそう言っていた。
できるのはダンジョンを攻略して次の召喚をさせないことか。
あとは帰る方法を探すことだな。
浮かれたコイツらもなんとかしないと……と
マモルくんの悩みは深いのでした。
魔術師のフリしてますがマモルくんも勇者です。
他の勇者とはすでにレベルが違うので
魔術師のフリしててもバレません。
彼以外は勇者でもまだヒヨコです。
引率の先生の気持ちがわかるかもねえ。




