115ページ 留学志願者。
師匠の勇者さんのことを魔王さまたちに教えたのはどうやら
魔族な神さまだったようです。
ココの世界の神でもないのにどうしてココに居るんでしょう。
「あぁ、ただの里帰りだよ。
一応この子たちは一族というか縁者でね。
ほんの茶飲み話のつもりだったんだけど迷惑かけてスマンね」
魔王の一族で神さまですか。
随分と面白い経歴をお持ちのようで……
「実力はともかく勝負は君の勝ちだよ。
お望みどおり君の友人たちは元の世界に帰してあげよう。
ちゃんと叱って置くしココの世界の管理神の言う事も聞くように言い聞かせるから
ソレから出してやってくれないかな?」
『ご加護をくださったあなたのことですから喜んで』
と言ったら魔王弟とペットボトルから出て来た美少女魔王が驚いていた。
魔族でもないのに魔族の神が加護を与えたということが
どうやらビックリネタだったらしい。
できたら人族をあんまりイジメないでやってほしいと要望してお暇することにした。
魔族な神さまがどこまで確信犯なのかは追及しちゃダメだよね。
高校生勇者たちを召喚した神官さん達は平身低頭してあやまってくれた。
なので一応勝手な召喚の危険性をお説教代わりにレクチャーして終了。
やっちゃダメって分かっててもやっちゃう人はいるんだよね。
でも、まるきり分からずやるのとやむにやまれずやっちゃうってのは違うと思うんだ。
どっちも困ったことではあるんだけど。
ココの管理神さまも勝てたことを喜んで下さった。
「アノ勇者をちょっと見てみたい気もしたんだがそうなったら
この世界をメタボロにされそうな気もするよ。
まあ、何事もなく済んでよかった。
礼を言わせてくれ。ありがとう」
あー、メタボロになっても魔法が使い放題な何でもアリな人ですから
すぐに修復しちゃいそうですけどね。
そう言ったら管理神さまは微妙な表情ながら笑ってくれた。
ともかく済んだので体育館まで送還してもらった。
魔族な神さまは体育館の事もなぜかご存じだった。
帰って来た高校生勇者を見て神官ちゃんはポロポロと泣き出してしまった。
勇者弟が何か言いたそうだったけどそっとしとくようにさりげなく誘導した。
しばらく二人だけにしておくのが一番だよね。
魔法使いは死にそうな目にあったせいかココの世界が一番いいと
思うようになったみたいだ。
「魔法が手品で嬉しいよ。
ファンタジーな異世界が悪いって訳じゃあないけどオレ達にはココが世界だってことが
良く分かったよ」
ちなみに彼の得意なのは水魔法と風魔法だ。
ノドが乾いて死ぬなんてことは無さそうだよね。
バイトなあの人は魔族な神さまがアノ世界に居たと聞いて青筋を立てていた。
迂闊な一言で勝手な召喚を引き起こしたと怒り心頭! 。
殴り込みでも掛けそうな勢いなのであわてて止めた。
お詫びの言葉もいただいたし魔族の方々にもいろいろ言い聞かせて下さると
いうことだったからね。
なんとか普通の日常に戻れた頃、留学志願者が来てしまった。
いや……困るよね。
美少女魔王が留学生って……
どうやら魔王の座は弟に譲ってきたらしい。
あー、バイトなあの人が怖くてアッチを向けません。
オレってもしかしてやらかしたのかなあ?
バイトなあの方と魔族の神さまの間に一体何があるんでしょうねえ。
でも追及するとコワイ気がします。
さて、美少女魔王さまは留学で何を学ぶつもりなんでしょう?
パワーに不足は無いはずですからパワー以外の所……ですかね?
マモルくん……やらかしちゃったのは確実ですよね。




