114ページ 奥の手。
高校生勇者と魔法使いは生きていた。
かなり重傷ながら手も足もちゃんと付いている。
魔力を封印する魔道具を付けられていた。
なのでオレが回復魔法を使おうとしたら魔法使いに止められた。
これからあの魔王と戦うならこんなところで魔力をムダ遣いするな! と。
意外と硬派な奴だったんだな。
魔力の回復薬があるから大丈夫と説得して回復魔法をかける。
エリクサーも使った。
ともかく無事に帰らないと神官ちゃんが泣くからな。
そうして対決の前に確認する。
コレはあなた個人とではなく魔王さまとの試合ですよね?
「どっちでも同じだとおもうが? オレは魔王なんだし」
いやー……強い!
三時間もかけても全然勝てる気にさせてくれない。
攻撃は重いし、魔法は最上級な上に無詠唱。
受け流して避けて魔道具で威力を軽減してと防戦に努める。
勿論攻撃しない訳じゃあないんだけど
ことごとく避けられる、受けられる、流される。
魔王さんの本体の魔王さまってスゴイと思う。
これと同じようなことを〔遊び〕だって楽しそうにそれこそ何時間でも
してたもんなあ。
しっかし、この方も疲れ知らずだね。
こちとらか弱い中一なんでそろそろ限界が近いんだよね。
奥の手いっちゃおう!
〔あーっ!!! 魔王さま! 後ろーっ!!!〕
魔王は後ろを振り返った。
そしてペットボトルに吸い込まれた。
美少女魔王が。
オレが戦ってたのが魔王じゃあないのは分かってた。
風魔法で会話を全部聞いてたからね。
戦闘をしてた魔王弟は怒りまくってるけどちゃんと聞いたよ。
『コレはあなた個人とではなく魔王さまとの試合ですよね?』
ってね。
あんまり感情にとらわれ過ぎるとスキだらけになるよ。
土魔法で素早く拘束して魔道具で封印した。
だってこうでもしないと殺されちゃうからねぇ。
神官さん達も高校生勇者たちも魔王さまの執事以下の部下たちも
唖然・呆然……まあ、無理もない。
魔王さんは爆笑中。
美少女魔王さまはペットボトルの中。
誰も手出しができないんだよね。
究極の人質状態だもん。
あー、ちょっとこのまま持って帰りたくなったのは認めます。
ええ、ええ……オレは卑怯者ですよ。
だってまともに行ったら絶対勝てない相手なんだもん。
からめ手くらい考えるでしょ!
この若さで死にたくなんかないしねぇ。
さて、ココの管理神さまにどうするか決めてもらわないとね。
でも来たのはココの管理神ではなかった。
魔族の神さまがあのニコニコ顔で現れたのだった。
やっぱりこのペットボトルは初見用ですね。
魔王弟は余裕で遊んでたんでしょうがヒキョーもんのマモルくんが相手では
足元をすくわれたようなものです。
担当神でもないのに現れた魔族の神さま。
いったいなんの御用なんですかね。




