102ページ 変身。
確かにオーガだったはずなのに死んだら人間だった。
オレは殺すつもりだった。
チビがブレスでトドメを刺したがオレの一撃は致命傷だったはずだ。
とうとう人殺しになったのか……
魔王さんはオレ達には見せたことも無い魔道具を使ってオーガを調べていた。
死んでたオーガの半分が人間の姿になっていた。
自分で望んだのかは分からないが元は人間だそうだ。
薬と呪術を併用してオーガに変身してたらしい。
元の人間に戻るのは多分不可能だったろうと。
死んだことで呪術が解けて姿だけは人に戻れたらしい。
姿だけで体質とかまでは人間にはもどってないそうだ。
ダチ勇者どもは
「お前が人殺しならオレ達だってそうだ。
刃物でやってないだけで電撃を落としまくったしな」
「アレで人間だって分かれ! ってほうが無理だ。
どうみても魔物そのものだろ」
「お前は魔物に落ちた連中を元に戻しただけだよ。
結果として死んじまっただけだ」
まるで自分に言い聞かせてるみたいにも聞こえたが
オレを慰めようと思ってるのは分かった。
イケメンは何も言わなかった。
どうやら人間をオーガに変えた薬が気になるらしい。
アブナイ薬に興味なんか持つなよな……
義賊の勇者は
「生きてる以上なにかを殺してる。
人だけが例外じゃあないよ。
ましてやアイツらは人であることを捨てていた。
明確に怪物になっていたんだ。
敵で魔物なんだ。悩むのはいいがこだわり過ぎるな」
向こうを向いて言ってたので表情はわからなかった。
殺したのかはともかく誰かを死なせたことはあるみたいだった。
チビは飛行距離が伸びていた。
でも、あれからブレスは吐いていない。
アレくらいなら来ると分かっていれば防げる。
でも不意打ちされたらキツイだろう。
チビはオーガが人間だって分かってたんだろうか?
オレを庇うためにブレスを吐いたのは分かってる。
多分、相手が人間だろうが魔物だろうが関係ないんだろうな。
チビには人間が仲間なんじゃあなくてオレと体育館の連中が仲間なんだから。
上の方とかバイトなあの人から人間を攻撃したことで
妙な扱いを受けないだろうか。
世界のバランスに影響できるほどにはまだ成長してないから
今のうちに処分とか……
悶々と考えているうちに師匠な勇者さんが来てくれた。
初めて怒りに燃えた勇者さんを見た。
ゲンコツをもらった時でさえ優しい勇者さんだったのに。
震えて動けなかった。
あー……コワイ勇者さんかぁ。
普段おとなしかったり優しかったりする人が
切れた時って怖いよね。
間抜け顔な勇者さんの怒った顔って想像できないけどね。
マモルくんたちを怒ってるんじゃあないと思うけど
勇者さん落ち着いて落ち着いて。
弟子が怖がってるよー。




