10ページ お得意様。
王さま、王女さま、大臣その他大勢の居る大広間の真ん中に
ポンと言う感じで出現した
「魔族の勇者」と魔族の王子さまご一行。
皆が唖然としてる隙にオヤジを引きずって前にでます。
三度目で済みません。
またなんですけどお願いします!
頭を下げました。
「えーと、そちらの方は? って鈴木さん?」
ウチの父です。ってご存知なんですか?
「あー、お得意様です」
ともかくコレ(首輪)をなんとかしてください。
言ったとたんにはずれました。
カメレオンオヤジこと魔王さんがなにかしたみたいです。
固まってたオヤジも再起動。
「なんで、Y商事の営業さんがこんなところに?」
「なんでってあなた方と同じですよ。
隷属の首輪は外しましたからもう戦闘は強制されません。
後で全部説明しますよ」
魔族の勇者なサラリーマンさんは人の国の人たちに
停戦交渉に来たことを伝えました。
切り札のはずのオヤジとオレはもう戦力外。
どうするのかと思ってたら停戦には王さまが絶対反対。
たとえ国が滅びても最後まで戦うと宣言した。
「あなたにそんな権利はありませんよ。
魔族なのに人間の王座に座ってるなんて違和感バリバリです。
本物はさきほど回収させてもらいましたよ。
いつまで人間のフリをしてるんですか?
追放された魔王の弟さん」
オレは隠蔽を持ってるので他のヤツのは結構分かると思ってたんだが
どうやらレベルがはるかに上なようだ。
でも魔族の勇者にはバレバレだったんだな。
不祥事を起こしても追放で済ませてもらえたのに逆恨みして人の国まで巻き込んで
兄貴に仕返ししたらしい。
あわよくば魔族の国と人の国の両方を支配しようと企んだと。
ということで弟さんはあっさり魔族の勇者が捕縛。
王子さまに引き渡してたからまあ末路は見えたね。
救い出した人間の王さまを返して停戦。
国境は元のまま。
言うなれば痛み分けってところかな。
もう勇者の召喚をしないように念押ししてもしやったら両成敗にすると
脅しもかけて元の世界に帰ってきた。
あーもう、勇者なんてコリゴリだ!
なぜか寝てるときに召喚されるマモルくん。
ベッド、関係なかったんだね。
居眠りもできないなんてどうしたもんだろうねえ。
サラリーマン勇者さん、なんとかしてあげてよ。




