表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小話集  作者: 深江 碧
9/18

謎の魔道書(『フォレスさんとセイナさん』より)

ある日、魔族で外交官のフォレスさん(夫)が、空間術師で保育士のセイナさん(妻)に頼みました。

フォレス「頼む! どうしても欲しい書物があるんだ。セイナの空間術で探してくれ!」

セイナ「……(夕食の準備をしていたが、物凄く嫌そう)」

 フォレスさんは本を集めるのが趣味で、世界中の本を収集していました。

フォレス「この通りだ、頼む!(土下座しそうなくらいの勢い)」

セイナ「(溜息)……わかりました。フォルさんがそこまで言うのなら」

フォレス「ありがとう、セイナ。愛してるぞ」

セイナ「(赤面)……それで、フォルさんはどこへ、何の書物を買いに行きたいんですか?」

フォレス「詳しくは知らないが、ネクロ●ミコンという書物がこの世界のどこかにあるらしい。何でも強力な魔道書だとか」

セイナ「ネク●ノミコン? ……何か嫌な予感がします。あまり手を出してはいけないような、そんな危険な書物のような気がするのですが?」


※ネクロノ●コン……ハワード・フィリップ・ラブクラフトの書いたクトゥルフ神話に出てくる書物の名前。ファンタジーやホラー映画などに禁断の魔道書としてよく登場するが、実際のところはどんなことが書かれているのかよくわからない。


フォレス「気のせいじゃないのか? なあに、もしも危険だった時は、セイナの空間術でその書物を次元の狭間に捨てて来ればいいじゃないか」

セイナ「人の力を便利なゴミ箱みたいに言わないで下さい! まったくフォルさんはいつも言い出したら聞かないんだから……(ぶつぶつ)わかりました、その本を探してくればいいんですね?」

フォレス「すまないな、セイナ。恩に着る」

セイナ「もう、どうなっても知らないんですからね? 責任はちゃんと自分で取ってくださいね?」

フォレス「わかっているさ。セイナは心配性だな」

セイナ「……(あなたが楽観的すぎるだけですよ……)」


こうして魔族の外交官、フォレスさんが手に入れたネ●ロノミコンは、平和だった街に大きな災厄を呼び込んだとか、呼び込まなかったとか。燃えるゴミの日に出されたとか、次元の狭間に捨てられたとか、その後の所在はわかっていない。


おしまい


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ