料理上(『フォレスさんとセイナさん』より)
ある日の夕食、フォレスさん(夫、魔族の外交官、あらゆる毒を無効化する鋼鉄の胃袋を持つ)がお酒を飲みつつ、セイナさん(妻、保育士、空間術を使うけど普通の人間、毒を食べれば普通に死にます)の手料理を食べていました。
フォレスさん「この枝豆はすばらしいな。煮て塩をかけただけなのに、こんなにおいしくなるなんて。セイナは料理の天才だな(感動)」
セイナさん「そんな大げさですね。枝豆を茹でただけの簡単な料理ですよ。はい、鶏の唐揚げが出来ましたよ?(褒められてうれしい)」
にゃんたま(野良ケットシー)「やったにゃ~。唐揚げにゃ~」
カルーア(捨てケルベロス)「我々は猫舌なので、冷めてからいただきましょう」
セイナさん「こら、駄目よ。にゃんたまとカルーアはこっち(煮干しと肉をそれぞれ与える)」
フォレスさん「うむ、唐揚げもうまい。こんなに料理が上手ければ、魔界に来て広くこの料理を広めてもらいたいくらいだ。魔界は鉱物資源には恵まれているが、食料が少なく、香辛料も乏しい。あちらはこちらに比べて料理も発展していないからな…」
セイナさん「魔界で料理を広める?」
(以下想像)
女魔族A「セイナ先生の料理は素敵ですね」
女魔族B「私もセイナ先生みたいに料理上手になりたいです」
女魔族C「どうしたらセイナ先生みたいになれますか?」
セイナさん(魔界で料理教室を開くのも悪くないかもしれないな…)
女魔族A「セイナ先生、料理が出来ました(青色の謎の物体)」
女魔族B「味見をしてもらえませんか?(異臭を放つ紫の物体)」
女魔族C「私の渾身の作です(蛍光色の食べ物と呼べない何か)」
セイナさん(…やっぱり無理かもしれない。わたし、フォレスさんみたいに毒を無効化できないし。食べたら普通に死ぬし、料理を魔界に広める前に、毒で倒れそう…)
セイナさん「ごめんなさい、フォルさん。やっぱり魔界で料理を広めるのは、わたしには荷が重いみたい…」
フォレスさん「(唐揚げを食べつつ)? そうか、それは残念だな」
夫、フォレスさんのように鋼鉄の胃袋があればいいのだろうが、それはそれで人間離れしているからやっぱりいいや、と思うセイナさんでした。




