ヨウタとじいちゃん2 (『祖父とヨウタ』、『姉の初恋』より)
ある日、ジョゼ神学校に通うヨウタ(本名はヨルム(以下略))は、祖父に修業のために大岩を割ってみるように言われました。
祖父「わしがヨウタくらいの頃は、こんな大岩簡単に割れたぞ?(大嘘)」
ヨウタ「うわ~、立派な岩だね、じいちゃん。じいちゃんは若い頃はこんな大岩を割ってたんだ。すごいなあ」
二人の前には、ゆうに数メートルの高さはある大岩が目の前にあります。
祖父「まあ、ヨウタに最初からこんな大岩を割るのは難しいじゃろうから、これくらいの大きさの岩が妥当じゃな。」
大岩のそばには人の背丈くらいの岩があります。祖父はそれを指差して言います。
ヨウタ「難しそうだけど、これも修業だからね。じいちゃん、俺やってみるよ!」
祖父「うむうむ、頑張ってみるといい。ただし、最初から出来なくても落ち込むことは無いぞ。人は失敗しながら大きくなる……(うんぬん)」
ヨウタ(確か少し前に、学校の法術の授業で肉体強化の術を習ったから、それを応用すれば俺にも出来るかも…)
人の背丈の岩に近寄り、ヨウタは拳を握りしめます。法術の術式を組み立て、気合いと共に一撃を繰り出します。
ヨウタ「てやっ!」
岩がその一撃が当たった瞬間ひびが入り、音を立てて真っ二つになります。唖然とする祖父、喜ぶヨウタ。
ヨウタ「やったよ、じいちゃん! 俺にも大岩を割ることが出来たよ!」
祖父は目を丸くしていたが、わざとらしく咳払いをする。
祖父「そ、そうじゃな。わしほどではないが、ヨウタもなかなかのものじゃな!」
ヨウタ「そうだね、おれもまだまだじいちゃんには敵わないな。これからもがんばって修業を積むよ」
祖父「うむ、頑張れよ、ヨウタ」
その後、家に帰ったヨウタが庭先で丸太に向かって鍛錬をしていると、母親がやって来ます。
母親「おじいちゃん、岩に手をぶつけてくじいたそうよ。おじいちゃんももう年なんだから、あまり無理はしないで欲しいと、ヨルムからも言ってくれないかしら?」
ヨウタ「わかった。後でじいちゃんに無理しないように言っとくよ」
母親「頼むわね、ヨルム」
母親が去った後も、ヨウタは庭先で鍛錬を続けます。
ヨウタ(おれも若い頃のじいちゃんのように、法術の力を借りずに大岩が砕けるようになりたいな。そのためには、もっと修業を積まないとな)
後で祖父の様子を見に行こうと思いつつ、今日も今日とて修業に励むヨウタでした。