ヨウタとじいちゃん1 (『祖父とヨウタ』、『姉の初恋』より)
ある日、ジョゼ神学校に通うヨウタ(本名はヨルム。祖父はヨウタと呼んでいるため、最早訂正するのが面倒くさい為、ヨウタと名乗っている)は祖父と一緒に修業で山登りに出かけました。
山の麓で、祖父はこんな提案をしました。
祖父「ヨウタ、これも修業じゃ! わしを背負って山の頂上まで登るのじゃ!(本人が楽したいだけ)」
ヨウタ「じいちゃん、この山結構高くて険しいみたいだけど」
祖父「こんなことで音を上げるようでは、まだまだ修行が足りないぞ? 女の子にももてんぞ、ヨウタ」
ヨウタ「……わかったよ。仕方がないなあ」
諦めて祖父を背負う。
ヨウタ「じゃあじいちゃん、しっかりつかまっててね?」
祖父「うむ、頼むぞ、ヨウタ」
祖父を背負って山を登り始めるヨウタ。少しずつ歩くのが早くなり、ついには走り出します。
祖父「う、うむ、ヨウタ。もう少しゆっくり歩いてくれんかのう。振動が大きくて気持ちが悪いのじゃが」
ヨウタ「え? 何? よく聞こえないよ、じいちゃん」
祖父「だ、だから、もう少しゆっくり」
ヨウタ「何だって?」
岩を飛び越え、垂直の崖をよじ登るヨウタ。祖父はヨウタの背中で気持ち悪くなっています。
ヨウタ「ふう、着いたよ。この山は結構険しかったから大変だったけど、いい修行になったね、じいちゃん。じいちゃん?」
山頂の隅で気持ちが悪くなってうずくまっている祖父。一方でヨウタは爽やかな汗をかいています。
それ以来、祖父は山登りの時はヨウタには背負ってもらわず、自分の足で登るようになったそうです。
※ヨウタの場合、×登山 → ○トレイルランニング です。素人は絶対に真似しないで下さい。膝が壊れます。