教皇様とイヴンさん(『空の座』より)
アグラダ(千年生きてるじいちゃん。外見年齢は二十七歳くらいの教皇様。ラスティエ教国の一番偉い人)とイヴン枢機卿(結婚して、成人した二人の子どもがいる。教皇様とは腐れ縁)が山のような書類を前に仕事をしていました。
アグラダ「なあ、イヴン。ふと思ったんだが」
イヴン「はい、何でしょうか?(書類に目を通しつつ)」
アグラダ「そもそもこのラスティエ教国の政教一致の体制がいけないと思うんだ」
イヴン「はあ…(また教皇様の愚痴が始まった…)」
アグラダ「国が政教一致の今の体制だから、私の仕事が山のようにあるのであって、政教分離の体制であれば、私ももっと楽できたと思うんだ」
イヴン「……(今更それを言いますか)」
アグラダ「そこで私は思ったんだ。この政教一致の体制が悪いと。この体制は改善されるべきだ。そのためには革命を起こして、この国を共和国にするべきだ」
イヴン「はあ…(溜息)」
アグラダ「そのためには今から革命の準備をしなければいけない。三十年後の革命を目指して、国をより良い方向に導く指導者を育てなければならない!」
イヴン「……それで、教皇様。今度はどちらの書類に不備があったんですか?」
アグラダ「……うん。こちらの会計報告なんだけど。いくら計算しても数字が合わないんだ」
イヴン「では、担当の者にもう一度確認を致しましょう」
アグラダ「うん、よろしく頼むよ」
※おまけ※
アグラダ「君臨すれども、統治せず、とする国王もいることだし。うちもそうしようよ~。ねえ、イヴン~。法律変えようよ~」
イヴン「口を動かしている暇があるなら、手を動かして下さい! 今日中に出さないといけない書類がまだ残っていますよ?」