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seek after magic ~魔法を探求するもの~  作者: 池田 時雨
第一章
6/6

5話

「お前面白いやつだな。」

前の席の北山がそう言った。

「さっきは悪かったな。自己紹介の途中で..。」

気にしてない、アレンがそう言うと、北山がはにかんだ。

「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は北山 一希、よろしくな。」

北山は犬のような懐っこい笑顔を見せた。

アレンはこの北山に親しみを覚えた。

確かにこいつはお調子者で、遠慮なくズバズバ物事をいうが、

アレンは気を遣いあう友達関係が苦手で、

そのためこの北山の性格が好ましく思えた。


「俺のことは一希でいいよ。」北山、いや一希がそういう。

「なら、俺のことはアレンと呼んでくれ。」アレンはそういうとはにかんだ。

こいつとは仲良くなれそうである。


1限目は数学であった。そして2時限目は英語であった。

帰国生であるアレンは教師に当てられたが、さらっ答えてみせてので

クラスの生徒にどよめきが起こった。


この学校のカリキュラムというのは、一般の高校と大きく異なっている。

まず第一に、数学、英語といった座学は午前中しかない。

午後は専攻している魔法属性ごとのクラスに魔法の応用、実践、研究を行う。

MR高校は高校はあるが、あくまで魔法の研究機関である。

MR生は生徒であり、みな研究者なのだ。

第二に、魔法理論、と呼ばれる学問がある。

これは魔法を実践するまえに、魔法の基礎を学んだり、

魔法構築式を考える時間である。


アレンたち1-Aの3限目はこの魔法理論だった。

驚くことには担当あの滝沢先生だった。

少し不安だったが、さすがはMR卒業生。教え方が上手かった。

今日の魔法理論はいままでの復習だった。

内容はこうである。


魔法とは「マナ」を操り、物質に何かしらの作用を与えることである。

「マナ」は体内で生成され、その保有量は個人差がある。

魔法を使う上で重要なことは構築式への理解とイメージ力である。

「マナ」をどのように作用させるかはイメージ力が必要になる。

「マナ」は魔法を行使すればするほど減少するが、休めば元に戻る。

大きい魔法ではそれに見合うだけの「マナ」が消費される。

魔法には火、氷、水、土、電気、無の6つの属性がある。

属性魔法にはランクがあり、

基礎、下級、中級、上級、最上級魔法と制定されている。


大体、今日の授業で話されたことはこんな感じだった。


昼休み、アレンはクラスの女子たちに囲まれていた。

「ねぇねぇ、ロンドンはどんなところだった?」

「彼女、ほんとにいないの?」

「好きなタイプは?」

さすがにアレンも蛇に囲まれた鼠のように困惑していた。

アレンは助けてくれ、と言わんばかりに一希に視線を送った。

やれやれ、とばかりに一希が集団に割り込む。

「おいおい、お前ら!俺のアレンちゃんを取るんじゃないよ!」

「北山、あんたのじゃないのよ!九条くんは!!」

クラスの女子の誰かが言った。

「何言ってやがる!俺とアレンはな、もう下の名前で呼び合う深い仲なんだ。」

変なことをいう一希に肘鉄をくらわせようとしたが、

「滝沢先生のいうこともあながち間違えじゃないのか...。」

というだれかのぼそっといった声に遮れてしまった。

雪乃だった。

雪乃の爆弾発言に女子から黄色い声が上がる。

「お、おい。その言い方だと俺が同性愛者みたいじゃないか?」

慌てふためく一希。

「違うの?」

真面目に問い返す雪乃。

このコンビは今後も頭痛の種になりそうだった。

さすがに気まずくなってきたアレンは立ち上がろうとした、その時


((ガガンッ!!))


突然扉が大きな音を立てた。

岩坂と取り巻き2人が教室に入ってくる。

「チッ!またあいつか!!」一希が舌打うちをした。

「おいっ!!ぎゃーぎゃーうるせんだよ!!」((ガガンッ))

岩坂が机を蹴り飛ばした。

「あぁ?またてめぇか..九条ッ!!」

岩坂がアレンを睨み近づいてくる。

「朝から、ロンドンだが、目が青いやらうるさいんだよっ!!」

「まぁいい許してやるから、俺ら3人ぶんのパン買ってこいよ。」

無茶苦茶なことをいう岩坂は、アレンの机の手をついてアレンにガンをつけた。

「どうした、ビビッて声もでねぇーか?」

無言のアレンに岩坂が挑発的に言い放つ。

「おいっ!!てめぇら、いい加減に...アレン?」

岩坂に詰め寄ろうとする一希をアレンが手で制止する。

「...に...ないな....」

アレンがなにか呟いた。

岩坂がアレンに問い詰める。

「なんつったか、聞こえねーよ!!」

(バンッッ!!)

「気に食わないって言ったんだよ!!」

突然アレンが机をたたいて立ち上がり吠えた。

「何が気に食わない?言ってみろ!!」

岩坂も負けじと吠える。

「パン買って来いだとか、ネチネチうざいんだよ。お前は納豆かぁ!?」

「俺が嫌いだとはっきり言えよ、この納豆野郎っ!!」

岩坂の顔色が一変した。余裕が見えた顔が完全に怒りに染まっていた。

「そうか!!なら、はっきり言ってやる!!俺はお前が嫌いだっ!!」

「顔も!声も!性格も!全部だっ!!」

岩坂が恫喝する。

「奇遇だな。俺もだよ、岩坂。」

岩坂とは対照的に落ち着いた声でアレンは言った。

「てめぇはぶん殴ってやらねぇと俺の気ががすまねぇ。」

「午後2時校舎裏に来い!ぶっ殺してやる!!」

岩坂がアレンを校舎裏に呼び出した。

「いやだね。」

アレンがきっぱりと断る。

「なんだ、ビビってんのか?てめぇは口だけか?」

挑発的に岩坂はアレンを怒らせようとする。

しかし、アレンは怒らなかった。

「違うね。逃げるわけじゃない。別の方法でやろうって言っているんだ。」

「別の方法??」

岩坂が怪訝そうにアレンを睨む。

「ここは魔法学校だ。ここにふさわしいやり方をしよう。」

アレンはそういうと岩坂を睨んだ。

「てめぇ..まさか俺に模擬戦を挑んでるのか?」


「「...ッ!?」」


クラスの皆が息を飲んだ。

「お、おい。アレン!!それは止めろ!!」

今まで黙っていた一希がアレンを制止しようとした。

アレンは一希には悪いが無視をし、あぁそうだと頷いた。

しばしの間沈黙が続いた。

「いいだろう!面白い、受けてやる。」

岩坂はほくそ笑んだ。

「午後2時に(模擬戦闘)ホールに来い。逃げるんじゃねぇぞ!!」

そう言い放つと教室を出ていった。


クラスには静かな沈黙が流れていた。

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