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seek after magic ~魔法を探求するもの~  作者: 池田 時雨
第一章
4/6

3話

本棟と特別棟をつなぐ渡り廊下をアレンと雪乃は歩いていた。

アレンは小柄な雪乃の背中を無言でついていった。

すると、気まずくなったのか雪乃から話を振ってきた。

「そういえば、九条さんは編入生...何ですよね?」

「ああ、そうだが。」

「前はどこの学校にいらしてたんですか?」

アレンは少しためらってから答えた。

「ロンドン魔法研究高校だ。」

すると雪乃は少し驚いたようだった。

「ロンドン魔法研究学校!?すごいじゃないですか?」

「そ、そうか?」

興味しんしん、と顔に書いてある雪乃をみて、アレンは少し困惑した。


ロンドン魔法研究高校、イギリスにある王立魔法研究施設だ。

つい最近まで俺が通っていた学校でもある。

ここ東京魔法研究高校と1,2を争う研究成績をあげている。


「イギリスか...道理で...」

俺の顔をじっと見ている雪乃が何を聞きたいのか察した俺は

質問をされるまえに答えることにした。

「ああ、俺の目のことか?俺はイギリス人のクウォーターなんだ。」

「髪は黒いなんだけど、目は遺伝してね。生まれつき青いんだ。」

カラコン入れてるような厨二病じゃないよ、というジョークをかましかけるが

全然おもしろくないので止めておくことにした。

「カラコンだと思ってました!!」

そう言われ転びそうになった...。


そんなこんな話しているうちに職員室が見えてきた。

「あ、ここですよ。職員室。」

雪乃がひらりと振り返ってそういった。

「ああ、ありがとう。時間とらせてしまって悪かったな。」

「いえいえ、そういえば誰先生に用事があるんですか?」

編入してきたばかりで知らない先生ばかりいる職員室に入るだけでなく、

顔をしらない先生を探すのはちょっと勇気がいる。

それを察してか、雪乃が気を利かせて言ってくれたことにアレンは気づいた。

「ああ、確か滝沢先生だったかな?」

記憶を確かめるようにアレンは言った。

「滝沢先生ですか!?私の担任です。」

「そうか、先生のところまで案内してくれるとありがたい。」

「了解です!!」

なぜか敬礼のポーズをとって雪乃は答えた。


(コンコンッ)

「「失礼します。」」

二人そろって職員室の中に入る。

「滝沢先生に用があってきました。」

雪乃が率先して言った。

「はいは~い。」

どこからかほんわかとした女性の声が聞こえてきた。

「あら?萩野さん、どうかしたの?」

「あ、編入するっていうひとを連れてきました。」

「まぁまぁ、ありがとう。萩野さん。こっち来て。」

そういわれると雪乃は声のしたほうに歩いて行った。

アレンは雪乃の後ろをついていった。

「ああ、君が九条くんね?」

おそらく滝沢先生であろう女性がそういった。

「はい、今日からお世話になります。九条アレンです。宜しくお願いします。」

頭も下げながら挨拶をした。

「あらあら~礼儀正しいのねぇ。滝沢穂希です。こちらこそお願いします。」

またもやのびのびとしたやさしい声が聞こえた。

アレンが見る限り滝沢先生はとても若くみえた。20歳ぐらいだろうか?

そういえば、職員室を見渡しても教師の平均年齢は非常に若そうだ。


どの国の魔法研究高校でもいえることだが、魔法研究高校の教師は若い。

なぜならば、魔法を使用できる教師が必要だからだ。

魔法使いが産まれるようになったつい25年ほど前のことである。

魔法使える教師は必然的に25歳以下になるわけで、

かの有名な初代魔法使いであり、この学校の学校長である牧瀬一葉も

25歳という若さである。

しかし通常教師になるためには大学をでて教育免許を取らねばならない。

最低24歳まで教師にはなれないが、

魔法研究高校の卒業生は魔法研究高校に赴任する場合、また魔法分野での講義を

行う場合のみ教育を行うことを許可する

という魔法対策庁の特例があり、このように異常に若い教師が存在する。

実際このMR高校の偏差値は異常に高い。

魔法は物理法則や自然法則を熟知していなければ使用することができず、

この学校の物理学、生物学、化学、数学といった理系分野は日本トップクラスで

かの東京大学にすら勝っているといわれている。

よって理系分野において言えば、

この学校の教師はMR高校卒業生であるため、そのレベルは高く

その分野に限れば教師としてのレベルも申し分ない。

もっともMR教師すべてがMR高校の卒業生ではない。

魔法分野の理系科目のせいで週に1度ずつしかないが、

国語や社会の教師は普通の教育免許をもった教師が教えている。


滝沢先生はどうやらその卒業生教師らしい。

まだまだ幼さが残る童顔にはやさしさが目に見えるほど満ち溢れていた。

(幼稚園にこんな先生いなかったか?)

と、アレンは先生の容姿を品評した。

「じゃ、今日から君は私が担任のクラス..1-Aだから...。」

滝沢先生は雪乃のほうを笑顔で見ながら続ける。

「ちょうどよかった。萩野さん、九条くんのお世話係に任命します。」

さらっとこんなめんどくさい役を生徒に押し付ける滝沢先生をみて

アレンはこの人意外と性格悪いんじゃないか、と思った。

「わかりました!任せてください!!」

雪乃が元気いっぱいに答えた。

「じゃ、九条くん、萩野さん、そろそろ私も教室いくから一緒にいこうか?」

滝沢先生はやさしい口調で二人の声をかけた。

二人は先生について職員室を出た。






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