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プロローグ
2050年1月1日世界が変わった。
20世紀以降人類を最も支えてきたものは何だろうか?
言葉?論理?はたまた心か?いや違うだろう。
それは科学である。20世紀はほとんど科学が支えたといっても過言ではない。
この世の理は科学的に証明されてきた。そしてこれからも科学によって証明され続けていくだろう。そう考えられていた。あの日までは。
世界の関節は外れてしまった。(野島秀勝訳、岩波文庫版「ハムレット」引用)
かの有名な劇作家ウィリアム=シェイクスピアの悲劇、『ハムレット』において
主人公ハムレットが父の亡霊と語り世界の不合理を嘆く言葉である。
魔法という科学では証明できないものが突如出現したあの日、
世界の関節ははずれてしまった。