インドクリスタル 前編 14年
2020年7/20〜7/21タブレット端末にて執筆し午後脱稿 同日夕方投稿
長くなりそうだから分割します 出来りゃ上下巻で纏める予定
【 篠田節子作品のファンが読んだら全身タコ殴りにされた挙げ句 大阪湾に重り括り付けられ沈められそうですが 何となく醸し出す雰囲気が "カーリーの歌" の世界で展開されるモビルスーツが登場しない "機動戦士ガンダム THE ORIGIN" のララァ・スン登場&シャアによる保護回みたいだなと感じた私は色々間違ってますか? いやもう読んでて主人公の声が池田秀一 ヒロインの声が平成版のララァ役だった早見沙織 (流石に潘恵子版はうろ覚えだし 父親と娘程度には歳離れてますしね) に変換されて妙な気分になったんだよ(T_T) 】
★御免なさい 怒られたら撤回します。 でもあの世代ど真ん中な私の場合ワケ有り疫病神なインド人少女=ララァ・スンで変換されちまうんです。
☆カーリーの歌 85年/翻訳版88年出版:後味最悪だったダン・シモンズのホラー小説 死んだ赤子の腹に詰められたヘロイン 路地裏で野晒にされたまま腐ってゆく死体の描写は未だに夢に見る事が有り 私は殺されてもインドには行きませんとなった物語。
日本 多分サスペンスになるんでしょうが
私が受けた印象は大人向け異世界ファンタジーでした(苦笑)
篠田節子 著
角川書店 出版
2018年角川文庫化 上下巻
■R40 既婚者推奨作品(笑)
嫁も子供も居ない奴には主人公の心理
ノーロリータ・ノータッチを理解出来ません。
2020年7月もそろそろ終盤戦 深夜毎晩甥っ子がギター片手にやらかすジャイアンリサイタルと夜明け前から地鳴りの様に響き渡るアブラゼミとクマゼミのアンサンブルで毎日微妙に寝不足気味の日々を送っております。 今回小見出しから色々ぶっ飛んでるのは兎にも角にも暑いからと言う事で御容赦を
貧富の格差を極めた多民族国家インドが抱える闇 近代化の妨げでしか無いカースト制の弊害 治安は最悪で沼地には寄生虫に集られ腐敗した死体がゴロゴロ転がるがその横で水汲みやってる子供達は気にも止めない 誘拐や暗殺等マフィア紛いな行為を繰り返す海外企業や自称人権擁護NGO 或いはロシア・中共経由で貧困層に食い込み出したイスラム原理主義や共産主義テロリストによる血塗れの革命ゴッコ等々 今のインドが国内に抱える様々な問題をかなりエゲツなく描いた物語
中東やアフリカ以上に面倒臭いそんな国に何故、欧米日本のみならず特亜やロシア企業までもが入り込もうとするのか 其れは動植物資源のみならず大陸の山々や地下に埋蔵する多くの地下資源。 特に宝石類なんかはアフリカ諸国同様、其れを巡っての争いにより村1つ丸毎地図から消えたりと 死人が出る程の熾烈な世界。
この物語そのまんまなトラブルに巻き込まれ 変わり果てた姿で発見される事例も其れなりに多いらしく 本編読んでみると分かりますが此れに比べたら確かにデトロイトやフィアデルフィアなんて文明社会の一翼担ってるんだと チベットスナギツネな表情になる事請け合い 死んだ方が幸せな世界で育ち生き伸びた少女が振り撒く悪意がどう結実するのか 裏切られ拒絶されようが 其れでも幼く聡明な彼女に可能性を抱き、実の親の様に救いの手を差し伸べる主人公に感情移入出来るかどうかで評価が分かれるそんな作品です。
【 人工水晶……そこそこの品質なら腕時計 耐放射線機能を持ち外部の電磁波の影響を受けない高精度な物は惑星探査機や人工衛星或いは軍事利用にも珍重される 其れの生成には皮肉にも高品質の天然水晶=俗に言うマザークリスタルが不可欠だった。 G7と呼ばれる諸国の大半が自国内の其れを掘り尽くした現在 オーストラリア/アフリカ諸国/インドを中心とするアジア各国では各メーカーによる苛烈な争奪戦が繰り広げられている まあ高純度のモノは天然物を使わなくとも何とか作れるのだが需要と供給 何よりも製造コストが割に合わないのだ。 】
★ちなみに私が水晶振動子の使い道知ったのは大田忠司の霞田兄妹シリーズ "伯林水晶の秘密" でした。 工業出身だけどデザイン専門だったしね(汗)
☆インド=シタール と言う訳でそんな楽器使った音楽CDなんてドアーズしか持って無かった私はまんまデビューアルバムBGMにしてました だってまんまこの物語そのものを揶揄した様な "水晶の舟 (大麻吸うパイプの隠語だそうな)" なんて曲も有るしね。 "ジ・エンド" で内容イメージするのは悪趣味かな?
■第1章:処女神
連邦共和国インド 僅か10年程で若年層が億単位で増え続け21世紀初頭に人口12億を突破 今も厳格に残るカースト制や英語普及を諦め22を越える公用語導入による民族間トラブル 拡がり続ける貧富の格差に付け込む中国共産党やイスラム原理主義テロリストの浸透により 以前よりも更に不穏な空気が漂う大国。
其処は民族と貧困・宗教紛争が常態化したアフリカや南米に東南アジア 白豪主義を拗らせた阿保が後先考えない暴挙やらかすオセアニアで20年以上もの間修羅場を潜り抜け天然水晶を買い付けて来た主人公=藤岡にも些か手に余る世界だった。 長きに渡る英国植民地としての屈辱と 分散統治により搾取され悲惨な歴史を歩んで来た多民族国家は独立を契機に其々の民族がエゴを剥き出しに相争う混沌の時代に突入 奴隷頭として中途半端にスポイルされた中流階級に所属する商人達は カーストに所属しない外国人に対しては時に卑屈に根拠の無い口から出任せな儲け話を持ち込み 自分達が優位になれば纏められた契約すら平然と踏み躙る。
宝石や水晶の研磨、今では海外からの直接買付けも行なう中小企業 "山峡ドルジェ (ドルジェ=金剛石の意)" 先代社長にスカウトされる形で大手企業の研究者から藤岡家の婿養子兼若社長となり 絶えず日本と海外を往復し海千山千のライバルを出し抜きつつ 夫婦円満な家庭生活と漸く授かった一人娘を成人まで育て上げた主人公がこの国にやって来た理由は、先々代の社長が世界中から集めて来た鉱石サンプルの中で信じられない程の精度が判明した水晶 "インド・クントゥーニ" の手掛かりを求めての事だ だが欲望を顕に屑石見せてぼったくり価格を提示し、鉱山共同開発&現地法人設立の交渉から始めてくる山師達が湧いて来るだけでまともな情報は入って来ない。
依頼元・狭間通信科学現地デリー営業所の徳永所長を通して接触したクントゥーニの貴石加工販売業者との交渉は敢え無く決裂 置いて来た名刺に食い付いて来た地元の大物=採掘会社を経営するアシシュ・チョードリーとの接触に成功するが果たして上手く行くのか? 饗応に応じゴキブリだらけで絨毯腐った自称高級ホテル (1泊=日本円で30万) からまともな別荘へ 露骨な迄に慇懃無礼で時代錯誤なサービスに閉口する主人公の部屋に送り込まれたのは人買いにロサと名付けられたと言う15〜16歳程の先住少数民族の少女だった。
色欲を満たす為の女も男も要らないと断ったら年端も行かない少女が送られて来た 俺達は仕事で此処に来たのに何考えてやがる
未だ謁見すら叶わない彼女の雇い主に嫌悪感を抱き 何とか穏便にお引取りを始めたやり取りから判明した下半身の焼け焦げた傷跡。 もし迂闊に送り返せば彼女は虐待される可能性が高い カースト制度による女性や子供へのDVが黙認されている土地柄に頭抱えた藤岡は 裸ワイシャツで一目瞭然な明らかに栄養足りてないロサに食わせるためルームサービスを要求 娘より幼い彼女と同衾なんてもっての他だと 深夜まで部屋のインテリアになっていたチェスで遊ぶ事に
女は要らないと乳離れしない内に人買いに売られ親の顔も知らず学校へも通ってないから文字も地図も読めない彼女にゲームの楽しさを教える筈が人並み外れて記憶力に特化したロサにコテンパンにされる事になる 初対面の筈の笑わない少女に何故随視感を感じたのか 翌朝中庭で返り血でドロドロになりながら鶏を絞めていたロサと会話する主人公。 2年前にインド返りの料理人 司が経営するカレー屋の常連だった縁で司の道楽旅行に付き合わされた彼は 後にウラン鉱石が見付かり強制移住させられた寒村クーディ村で生き神様として祀られ額に施された目を題材にした入墨 生贄にされた牛の血を地元の大物や祭司達に浴びせかけられ足に接吻されながらも無表情で佇む幼女の事がトラウマになっていたらしい
帰国後人権擁護NGOに務める娘から聞かされた 見目麗しさから人買いに売られ愛情も教育も受けられず司祭達の傀儡に祭り上げられた下層階級出身の生き神様に待ち受ける碌でもない未来。 良くて死にかけた上流階級の老人の後添え&副葬品 或いは激安な売春宿の商品等々を知り軽い後悔に苛まれていた主人公は 生き神様として笑う事も泣く事も許されない綺麗な飾りとして生かされた過去を聞かされ 挙げ句の果てに英語でもヒンディー語でもない会話を繰り広げ 黄色い花束を抱え何事かを呟いたロサを殴り倒した雇い主の態度に益々嫌悪感を抱く事になる
☆ちなみにイギリスの植民地になってから表向きはカースト制度同様に廃止されたけど、インドの宗派の中には妻や召使いの殉死を強要する部族も居ます 誘拐されたり人買いに売られ麻薬投与され生きながら夫の棺桶ごと燃やされたり或いは薬殺されて副葬品として埋められる少女達 陰惨で野蛮な儀式止めるための政府軍と買収された地元警察や上流階級巻き込んだ三つ巴の戦いは21世紀になっても続いてます。 なお中共もそんな風習有る所が90年代まで有り 近隣諸国や田舎での誘拐が多発 其処では人民解放軍は正義の味方(苦笑) メキシコや日本のど田舎で昭和まで有った屍婚 果ては沖縄でも昔はそんな迷信が罷り通っていました まあ日本は早々に埴輪或いは小指切り等⇒墓に赤文字で名前乗せる形に切り替えたけどね。
案の定水晶の鉱山開発はあからさまな詐欺 視察中に共産ゲリラの爆弾テロで道路は寸断 糖尿病の発作起こしたチョードリーの豹変に毒殺と勘違いし驚き逃げ出した運転手とガードマン インシュリン注射で辛うじて命繋いだ役立たずを連れ 土地勘無いまま炎天下のジャングルを彷徨う破目になった藤岡と徳永の3人の命を救ったのは 漸く見付けた人里=コドゥリ村の電話を使い連絡取ったロサとのやり取り 前の夜、偶々主人公から此れから訪れる予定の鉱山や村の地図を丸暗記していた彼女のアシストにより救援部隊が到着。
ドサクサに紛れて仲間達と此処で水晶の盗掘行っているらしい村の若者ロケスからまんまと現金約15万で大量のサンプルを買い付けた主人公は 娘から連絡受けて少女娼婦の保護に乗り出した傲慢でバカな白人女がリーダー務める人権擁護団体とのトラブルや尚も縋り付くチョードリーを何とかいなし日本へ戻る 手に入れたサンプルは紛う事無きインド・クントゥーニだった。 チョードリーから連絡が有ったのは其れから数ヶ月後 タイのバンコクで起きた細やかなトラブルをどうにかボヤ程度で収めた直後 訳の分からない事を言い乗り込んで来たはた迷惑な人権擁護団体に関するクレームを電話口で聞き流していた主人公は ロサを邪な種を持ち生まれてきた疫病神と罵りつつも彼女を手放そうとはしなかった老人の意外な申し出に戸惑う事になった
ロサを必ず日本へ連れ帰り二度とインドの土を踏ませない その条件を呑んでくれれば偽造パスポートや偽の身分証明書と飛行機チケットを此方で準備し彼女を引き渡す。
糖尿病を悪化させ残り少ない命を瞬かせながらチョードリーが語るロサの経歴、其れは陰惨で因縁めいた物語。 生き神様として用済みとなった彼女をチョードリーの姉が引き取った切っ掛けは 人間爆弾として義弟夫婦の披露宴に送り込まれた事 幸いにも彼女に取り付けられた15kgもの爆弾は本人以外ダメージを与えなかったが1発だけ破裂 身体をズタズタにされながらも命を拾った少女の未来はお先真っ暗だった。 例え警察に渡しても自称親に引き渡され再び自爆要員にされるか永遠に口を塞がれる 治療後、義弟宅にメイドとして引き取られるもその怪しい魅力は 使用人の業務遂行しいては家庭内の不和を引き起こす 知り合いの職人の後妻とするべく街へ送り出そうとした姉は彼女を誘拐しようとした身元不明な犯罪者に車ごと焼かれた 臨終の床についた姉に頼まれ別荘の屠畜係として使っていたが親族の変死等 不可解な出来事が絶えないのだと嘆くチョードリー
でも流石に年端も行かない少女を日本へ連れて帰れば主人公自身も要らぬ疑いや詮索をされる可能性が極めて高い 悩んだ末にロサを徳永へ紹介、1度見聞きした事は決して忘れず短期間で日本語や英語も日常会話程度に操る等 才能を開花させた彼女は狭間通信デリー支店預かりに 後日休暇のため日本に戻って来た徳永と祝杯を上げる主人公 人間として全く信用出来ず 極めて不本意だが、今後ライバル企業を蹴落とし インド・クントゥーニ並みの品質を誇る天然水晶の安定供給を実現するならチョードリーとの友好関係は維持してゆかなければならないだろう。
想いを馳せる主人公は自らが陥った混沌の罠に未だ気付いていない 何故あの時チョードリーはロサを殴り倒したのか………8年前 マリーゴールドの季節 彼の息子は愛車で別荘へ向かう途中、水晶を満載したトラックに正面衝突され植物状態になった。 現場に駆け付けたチョードリーが見たのは即死したトラック運転手と意識の無い息子の周りに散らばる血塗れの黄色いマリーゴールド そんな事情を知らない筈なのに 血の匂いを漂わせマリーゴールドの花束を抱え彼女はこう告げたのだ
今 お前の息子が死んだよと
本当は一気にラストまで書き進める積りでしたが 只今の気温軽く32度越え 潮風も止みカンカン照りの太陽の下、西日が強烈で………いや普通に死ねますって(涙)
2020年7/22 ラストがイマイチだったので次章から追記 ちょっとはミステリーぽくなったかな?




