アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 17年
2020年7/1〜7/3タブレット端末にて執筆し深夜脱稿 同日深夜3時投稿
【 当時人口400万程度の小国フィンランドは何故勝ち目が無いのに53万 (其れ以外にも8歳以上の動ける男女ほぼ全員が後方支援要員として参加) もの兵力を投入し、当時150万もの兵力 (国力差は実質15倍) で侵略行為を再開したソビエト連邦と戦ったのか 何故か日本の学校では都合悪いから敢えて教えない "継続戦争41.6/25〜44年9/19の3年2ヶ月" を1兵士目線で描いた半ノンフィクション かなり地味で陰惨な物語で即座にレンタル落ちしそうだから見るなら早めにどうぞ。 】
★フィンランド人なら "ムーミン谷の彗星" レベルで老若男女にはお馴染みの物語だそうです 映画化は通算三度目。
☆原作者ヴァイノは機関銃手として戦争に参加 登場人物は架空ですが描かれた惨劇は実体験 継続戦争では女子供や動けない老人を狙い村襲撃する民兵との戦闘がかなり陰惨なモノになったそうで 詳しくはウィキ等で検索を 犠牲者の写真閲覧は自己責任でお願いします。
原題:Tuntematon sotilas
名も無き兵士 或いは 無名戦士
英題:UNKNON SOLDIER
フィンランド共和国 劇場公開作品
2019年 日本劇場公開
■日本ではPG12作品
原作:ヴァイノ・リンナ 著
"無名戦士 Tuntematon sotilas 54年"
1955年/1989年に映画化 まあ要するにあちら版 "はだしのゲン"
或いは "ひめゆりの塔" みたいな作品です。
2020年7月始め 此れ書いてる今現在気温30度越えで湿度85%(*_*) 猫様も犬も溶けまくりな暑さに耐えながら今回取り上げるのは英雄も天才も登場しない割と地味目な戦争映画 多分 "ガールズ&パンツァー劇場版" で本名不明なミカさん率いる継続高校が活躍しなけりゃ良くてDVDorBlu-rayセル 下手すると其れすらもままならなかった可能性が高いかもな物語。 多分後10年もしたら日本で公開された事自体忘れられそうな気がします そもそも1名当たり平均14機撃ち落とした空軍の活躍や伝説の狙撃兵シモノ・ヘイエも出てきませんし戦車は敵が持ってるだけ (実際は飛行機やサブマシンガン同様かなりの数を凍死した敵からかっぱらったそうですがね。) 雨が降り注ぎ苔と虫に閉口しながら這い回る森の中での殺し合いだから殆ど相手が見えない戦争をリアルに再現しています。
映画で描かれているのは当たり前の現実 戦争は確かに悲惨でロクでもないし出来りゃありとあらゆる手段使って回避すべきモノだけど、イデオロギーを押し付ける侵略者に立ち向かわない者に待ち受けるのは奴隷となり家畜以下の扱い受けながら使い潰される最後で有り 撃って来る敵より無意味な根性論や軍規振り翳し味方の脚引っ張る将校への憎しみ。 60代越えても未だお花畑な世界で現実逃避してるぱよぱよちーンな連中には到底受け入れられない世界の理 実際共産主義に洗脳され赤化した北欧で支配者となる筈だった自称解放戦線に加担したフィンランド人は未だ何処でどう処分されたのか記録すら残されていません(苦笑)
当初ソビエトと結託しポーランドの地下資源やノルウェーの科学肥料や重水工場 果てはスウェーデンの鉄鋼石にタングステンを狙っていたナチス・ドイツの突然の方向転換 小国に対する搾取を見て見ぬ振りしてるアメリカ合衆国ルーズベルト政権に対外資産や企業に直談判し購入した戦闘機や弾薬に大砲を奪われ万策尽きたフィンランド共和国は自国防衛の為の兵器とそのノウハウを供給して貰う代わりに、ドイツ軍のフィンランド国内通過と連合軍の援助物資受け取り口=不凍港ムルマンスク制圧やレニングラード包囲戦の支援攻撃に加担。 元々隣国に攻め入る積りだったソビエト軍150万もの勢力は 待ち構えていたフィンランド軍の逆侵攻とタイミング良く始まったドイツ軍侵攻により思わぬ大損害を被り1944年9月の停戦⇒降伏までに実に90万人近い死傷者 (但し公式資料無いのでフィンランド側の推測データ 勿論民兵含まず。) を出す事になりました。
なおフィンランド側の損害は戦死行方不明約6万3千人 重軽傷者や拉致被害者も含めると約23万もの犠牲を出しました とは言え枢軸国と呼ばれた負け組の中で、唯一経済崩壊せず他国に占領されなかったから国の再建早かった訳です。 もっとも前回の冬戦争でソビエトに奪われたカレリア地方は再び奪われ 2020年現在もロシア共和国となったあの国による度重なる国境侵犯と挑発行為に対抗するためフィンランドはNATOに加盟⇒緊張状態に有ります。
物語をなるべく整理し分かり易くと整理したにも関わらず 上映時間は約2時間半(TT) なるべく独自解釈も加え滅茶苦茶鬱になる展開をサラッと纏めて読める様挑戦しましたが詰まらなかったら御免なさい。
【 映画に登場するソビエト軍装備 T34/76中戦車とT70軽戦車は戦車博物館から借りて来た動態保存された本物 街の崩壊シーンや森林吹き飛ばした砲撃映像はギネス世界記録レベルの弾薬使いまくり 映り込んだ建物消す等CGは一部のみで、動員されたエキストラの数は12000名 未だ人口増えず530万のフィンランドでは破格の人数 国民的作家が遺した遺産みたいな物語だから興行成績も凄い事 (100万人=国民の1/5以上が観た) になりました 但しフィンランド限定です。 】
☆冒頭 冬戦争を生き残ったフィンランド褒め称えるチャーチル首相の演説音声入りますが(-_-;) 英国はアメリカに次ぐソビエトの軍事援助国 送り込まれた最初のハリケーンとスピットファイア戦闘機は対フィンランド戦に投入され返り討ちにされました。
1941年春 夜明け前のヘルシンキ郊外 志願兵として入隊忽ち頭角を表し小隊長になった アルマ・ヨハン・カリルオト少尉 (窪田正孝に似てる) は恋人 シルカ・リネア・クレンベルク と出征前の最後の逢瀬を楽しんでいた。 同年6月 ニュース映画ではナチス・ドイツの隆盛が伝えられる中、戦闘未経験者な若者ばかりの機関銃中隊は先祖代々帝政ロシアの職業軍人だった コスケラ中尉 に率いられヴィスラ川を越え国境地帯へ移動。 童顔の皮肉屋で口喧嘩なら無敵な ヴァンハラ伍長 穏やかな性格のユダヤ系 ヒエタネン伍長 の紹介場面を挟みつつ遂に開戦の時を迎える。
41年7月4日 ドイツ軍のソビエト侵攻と時を同じくソビエト軍によるヘルシンキ爆撃で始まった継続戦争 緩衝地帯に設けられた木製トーチカに苦戦する歩兵中隊。 次々と斃れる兵士達の断末魔と降り注ぐ味方の砲撃で耳鳴りに苦しむカリルオト少尉を押し留め 集束手榴弾を手に単独でトーチカに貼り付き吹き飛ばしたコスケラ中尉の活躍で何とか防衛ラインを突破した中隊はソビエト国境へ 開戦初日から続出し続ける戦死者と後送者 地獄そのものだった冬戦争を生き残り 生まれ故郷カレリアが見える開拓村で妻リューティや3人の娘達と暮らす アンテロ・ロッカ伍長 を始めとする予備役の兵士達に招集令状が届いたのは程無くの事 予備役兵達は装備を背負い歩いて最前線へ 途中トラックに便乗させて貰い前線に辿り着いたのは8月に入ってから。
やさぐれモードなオジサン2名を出迎えたのは、下手すると息子程歳の離れたヤル気空回りしてる若手士官コスケラ中尉 ロッカ伍長と同郷の友人でかなり口下手な戦友=スシ2等兵は "どう考えても俺達は貧乏クジな部隊に回された" と頭を抱え込む事になった。 前の戦争で多くの若手士官が犬死にする様を真近で見て来た彼等にしてみればこの戦争は明らかに負け戦
『 さっさと故郷を取り戻し和平交渉に持ち込んでくれ 俺は英雄になって死ぬのは御免だ。 』
例年より早く訪れた雨期 泥濘と化した道をひたすら歩く日々 ソビエト軍はモスクワ防衛に兵力を割り振りカレリア地方に残されたのは死守命令を言い渡された僅かな戦力 首都ペトロザボーツク近郊の森で中隊は数台のT70軽戦車と随伴歩兵部隊に遭遇 切り札となる筈だった対戦車ライフルは全く役に立たず多くの犠牲者を出す事に 地雷を使い戦車を撃破したロッカ伍長の活躍で何とか生き残る。 塹壕に籠もる敵との戦闘 自らの判断ミスで部下を失いパニック状態のカリルオト少尉の尻を引っ叩き白兵戦のノウハウを叩き込むロッカ 民兵に殺された補給部隊の兵士達 41年10月 遂にペトロザボーツク=旧ペトロスコイ陥落 燃え盛る街に残っていたのは僅かな民間人。
和平交渉を進めるため中隊は此処で暫く待機 久し振りに屋根の有る建物で暮らす生活。 ロシア語が堪能なヒエタネン伍長をガイドに街を散策するロッカとヴァンハラ伍長 お菓子片手にロシア人の子供達にフィンランド語を教えるヒエタネン 逃げるタイミングを逸し女3人でアパートに暮らす民間人との交流 俺達は別にロシア人が憎くて戦争を始めた訳じゃ無い ただ生まれ故郷を取り戻したかっただけなんだそう呟くロッカ 名前すら知らないうら若きロシア人女性達と踊るカリンカ (ロシア民謡) 交渉が決裂し戦闘の再開が決まった朝 ロシア人達は姿を消した。 ヒエタネンに託されたレーニンバッジ ヴァンハラに託された蓄音機とレコード 穏やかな秋が終わり戦場には雪が降り始める。
42年1月 反撃に移るソビエト軍により前線部隊崩壊 中隊は森の中に防衛ラインを築いた。 敵は側面から別働隊を送り込む可能性が高い カリルオト少尉の許可を取り付けたロッカは機関銃1丁を借り受け装填手役のシボネン2等兵と共にたった2名の防衛線を構築 深夜まんまと現れた小隊と銃撃戦 闇雲に撃たれた流れ弾でロッカは昏倒するがヤケクソ気味の抵抗は大金星となり1週間の休暇をゲット ちなみに敵前逃亡した味方歩兵部隊は見せしめに銃殺刑となり 危うく修羅場から逃走する所だったシボネンは蒼然とする事になる。 クリスマスは逃したものの家族との団欒を堪能し4人目 (勿論狙いは息子) を仕込み 馬の蹄鉄交換と薪の補充を済ませロッカは現場復帰 継続戦争は2年目の春を迎えた。
42年6月 フィンランド独立の立役者で事実上の最高責任者を務める元ポーランド貴族=マンネルハイム元帥の誕生日を祝う為にヒトラーが訪問 森に塹壕やトーチカ等の防衛陣地を築き上げた歩兵大隊には庶民の酒が下賜された。 味や香りよりもアルコール度数最優先な安酒でグデングデンに酔っ払ったコスケラ中尉はいきなりロシア語で上層部の悪口を喚き散らし大暴れ 酔いが覚めるまで預かってくれとカリルオト少尉に懇願されたが部隊全員酔っ払い状態の為大惨事となる(苦笑) 夏の前に補充兵がやって来た。 サーミ人で弓を使う奇天烈なオジサン ホンカヨキ2等兵 とヘルシンキ育ちな若干19歳の ハウヒア兵卒 新米2名の面倒を見る事になったロッカは塹壕を案内 陣地の周りには対戦車砲と狙撃兵がウヨウヨ居るし毎日の様に誰かが撃たれるから迂闊に身を乗り出すな だがハウヒアは配属初日に頭を撃ち抜かれた。
42年12月 最前線の塹壕で夫や恋人の帰りを待つ故郷で其々が歌うXMASソング 年月は流れ人々は消えてゆく この戦争は何時まで続くのか?
43年7月 度々軍規を無視する様になったロッカ伍長 息子が産まれたらしいし農場の麦の収穫や家族が気に掛かる 国防?正義の戦い?知った事か(# ゜Д゜) 若造の戦死以降、敢えて歩哨に志願し続けるロッカの狙いは大当たり 捕虜を捕え情報引き出すために忍び込んだ敵をまんまと捕え殲滅 唯一生き残った敵は大尉だった。 捕虜を手土産に司令部に乗り込み上官と直談判報奨としてほぼ1年振りの休暇をもぎ取る 大金星を上げたロッカのお陰で他の兵士達も交代で休暇を 老いた母を心配していたコスケラ中尉も2週間の休暇を貰い故郷へ一時帰郷 自分と同じく最前線に送られた筈の兄達は2人とも遺影になっていた。
カリルオト少尉はシルカと結婚式を上げる 既婚者で優秀な下士官は人材が払底しつつ有る後方でも引く手あまただと 新妻はヘルシンキに残る様懇願するが部下やコスケラ中尉を置いて自分だけ助かる道を選ぶときっと後悔するだろう カリルオト少尉は妻を実家に預け前線へと戻る。 兵も下士官も何もかも足りない ドイツ軍が北欧から追い出され連合国軍からの多大なレンドリースを受け取ったソビエト軍の攻勢は既に始まり抑えきれなくなっている ロッカ伍長やスシ2等兵と共に子供と老人ばかりとなった補充兵の面倒を見るヒエタネン伍長 砲撃でパニックを起こした新米を助けようとして顔に破片を浴びた彼は急遽後送されるが 制空権を取り戻した敵は救急車にも容赦しなかった。
大隊長が戦死 壊滅寸前となり殿軍を命じられた機関銃中隊 ヤケクソ気味に負け戦に立ち向かおうとしたカリルオト少尉は呆気なく戦死 ギリギリまで囮となり装備を持ち撤退しろと厳命されたが弾の無いデカブツ持ち帰って何が出来る。 コスケラ中尉とロッカ伍長達は捕まれば嬲り殺し確実な負傷兵の後送を優先し機関銃は1台だけ残し後は湖へ投げ捨てる 味方に置き去りにされ暗闇の中森を這い回る逃避行 重傷を負い精神的に追い詰められたルッコラ2等兵は小休止中ライフルで自分の頭を撃ち抜いた。 中隊に死守を命じた大隊本部唯一の生き残りで逃亡兵の処刑係だった カルジア中佐 は機関銃中隊が武器よりも負傷者後送を優先した事実を知り激昂 中隊はまたしても死守命令が与えられ道路沿いで待ち伏せ攻撃を行う事になったが其処に現れたのはマシンガンや手榴弾では返り討ちがオチなT34中戦車の大隊と随伴歩兵達だった。
絶望的な戦況から1人でも多くの部下を生還させるため 独り戦車に立ち向かうコスケラ中尉は集束手榴弾で戦車を1台仕留めたものの機関銃で蜂の巣に 撤退する中隊を押し留め様と部下を撃ち殺した カルジア中佐は戦車砲に吹き飛ばされ森に逃げ込んだロッカ達に見殺しにされる形で後続の戦車に潰された。 44年7月 ロッカ伍長とスシ2等兵が率いる中隊の生き残りは漸く出発地点となったヴィスラ川に到着 だが彼等の目の前で橋は爆破され已む無く急流を泳ぎ対岸を目指す だが追い縋るソビエト軍にロッカとスシが撃たれ瀕死の彼等は後送された 殆どのベテラン兵士を失った機関銃中隊の残存兵を指揮する事になったのはかつては明るいお調子者だったヴァンハラ伍長
有り合わせの装備を掻き集め塹壕を掘り防衛拠点を築いた彼等の絶望的な戦いが幕を閉じたのは9月4日 ベテラン兵士で生き残ったのはヴァンハラ伍長と不思議生物なホンカヨキ2等兵 停戦合意により辛うじて命を拾った彼等が漸く軍務から解放されたのは随分後の話になる 疎開先から戻ったリューティと4人の子供達 ボロボロになったものの生還したロッカを抱き締める家族の姿 コスケラ中尉の母は3枚となった遺影を悲しげに眺め カリルオト少尉を失ったシルカのお腹には彼の子供が そして物語は祖国を守り亡くなった無数の墓を映し静かに幕を閉じる。
そもそもこの映画取り上げようと思ったのは尖閣諸島で挑発行為繰り返すテロリストに嫌悪感抱いたからですけどね 約80年前のアメリカもそうでしたが全体主義に染まった国家は文化芸術資源すら何もかも枯れ果てるから他所から奪えば良いって発想になりがちです ナチス・ドイツは其れで滅んだ訳ですが東欧みたいに巻き添え食うのは御免被ります 滅ぶなら自分達だけで滅べ。




