アメリカン・タブロイド 上 95年
2020年6/18〜6/19タブレット端末にて執筆し脱稿 6/20深夜投稿
気温30度の熱波の中で書き上げたせいか文章乱れ気味ですが御容赦を 何とか下巻まで書いてから誤字その他は直します。
【 泥の中にどっぷり使った人生送る救いようの無い主人公=Hヒューズの番犬やりながらマフィア御用達の殺し屋と脅迫屋を兼任してるピート 元上流階級出身で名前までも変えて再び成り上がりを目指すFBI捜査官ケンパー 孤児から途中司祭の道へ進みかけるも色々有ってFBIの捜査官となったウォード 生き残る為に他人を貶め或いは身内ですら容赦なく手に掛けて来たどうしようもない屑達は50年代〜60年代初頭のアメリカ合衆国を駆け抜けた。 まあ何処までがノンフィクションで何処からがフィクションなのかは読者が判断してくれと丸投げしくさった作品です。 】
★ケネディ大統領暗殺にキューバ危機と黒人による公民権運動 今考えるとアメリカ近代史知らないと訳が分からないと思います。
原題:AMERICAN TABLOID
タブロイド=ゴシップ雑誌の俗称。
信用度は共同通信か朝日/毎日/東京新聞 或いはTBS並みかと(-.-)
アメリカ ミステリー小説?
ジェイムズ・エルロイ 著
98年 文藝春秋より翻訳版 上下巻
2001年 文庫化⇒入手困難
文庫化された当時、仕事の合間に読もうと購入⇒上巻読んだ辺りで力尽き そうこうしてる内に家が無くなり泣く泣く手放した小説手に入れたので取り上げてみました。 あれから早○○年 登場人物の名前が中々覚えられずしかも翻訳版は愛称と並列してるし、原作者の悪い癖で敢えて時系列を入れ替えたりと本当に滅茶苦茶遊び捲り 果ては事件が3〜5人の視点でコロコロ入り乱れるからかなり覚悟が必要になる物語。 此れから読むなら多分ウイキペディア検索可能な端末参照しながらかアメリカ近代史やマフィア犯罪史扱った文献参考にしながら読まないと訳が分からないかもです。 まあ可能な限り整理する為に色々端折ったりと頑張っては見ますが もし詰まらないとなったら御免なさい エルロイ作品大好きなんだけどストーリー説明するのは中々難しいのよ。
終戦からそろそろ100年近く経過しても "あれは正義の戦いだったと" 泣き喚いて歴史を誤魔化し 列強が植民地化した東南アジアや特亜利権を横から掻っ攫おうと参戦した第二次世界大戦。 前代未聞のイデオロギー対立により行われた総力戦で唯一の勝利者となった筈のアメリカ合衆国は、勝つために手段選ばないえげつないにも程が有る手口を使ったがために (マフィアとの繋がりとかFBIの秘密警察化とかね……) 国内の歪みが噴出してゆく そんな内情を描いた "暗黒のLA4部作 (ブラックダリア〜ホワイトジャズ)" の続編 "アンダーグラウンドUSA 3部作" のテーマとなるのは綺麗事喚いてアメリカ合衆国を迷走させたケネディ1族に憎悪 "但しかなり自分勝手な逆恨み" を抱く人々の物語。
1924年から長官続け1972年に亡くなるまで48年間もアメリカを牛耳ったFBIの独裁者ジョン・エドガー・フーバーの暗躍 諜報予算獲得の目的で南米麻薬カルテルの基礎を築いたCIAの憎悪 軍情報局に協力しFBIのお目こぼしで空前絶後の繁栄を築いたマフィア勢力の暴走 そんな連中に取り入り成り上がりを目指す野心家 元々金持ちで薄汚い彼等に嫌悪感を剥き出しにするアメリカ貴族の対立構造が何故公民権運動やキューバ危機 果てはJFK暗殺事件に繋がってゆくのか そもそもこの物語何処までが史実で何処からが嘘っぱちなのか 物凄く過酷な人生歩んできた原作者 (元ホームレスで文字は図書館で覚えたそうな) は敢えてコメントしてない辺りかなりエグい話なのかも知れません。
【 40年代 1920年生まれのフランス系カナダ人が合法的にアメリカ合衆国国籍を手に入れるなら2つの手段が有った。 1つは大学卒業資格を持つか何らかの専門技術者資格を持つ場合 もう1つは陸軍か海軍或いは海兵隊に入隊し自ら血や汗を流して手に入れる道 海兵隊で大尉まで昇進 サイパンで日本軍相手に屍山血河を築き上げロサンゼルスで保安官助手の仕事に有り付いた若者ピート・ポンデュラントの転落人生の始まりは偶々有り付けた副業がマフィア傘下のカジノ用心棒だった事。 血塗れな彼よりは少しマシな人生歩む筈だった弟フランシスが当時アメリカでは禁じられていた堕胎とモルヒネの密売に関わってしまった事。 】
★幾ら好景気だろうが白人様だろうが英語が辿々しい外国人が有り付ける仕事なんて荒事専門の用心棒かマフィアの下請けしか無いのだよ。
■第1部:強請 1958.11月〜12月
弟フランシスに医師免許を取らせる為に生活を支援し 何れ年老いた両親をカナダのド田舎から家賃も其れなりに高いロサンゼルスで移り住んで貰うために始めた彼=ピート・ポンデュラントが3つ目の副業 1人1万$で此の世から退場して貰う口封じの仕事 何時から始めたのかは定かでは無いが 致命的なミスを犯してしまったのは49年12月14日の事だ。 依頼主は地元マフィアの大物 ミッキー・コーエン 武装強盗犯ヒュークレス・マイヤーがやらかしたカジノ強盗の報復攻撃に投入されたピートが命じられたのはマイヤーの逃走を手助けした殺し屋の隠れ家襲撃。
誰も生かして帰すなと、言われるがまま家に火炎瓶を投げ込み火だるまとなって這い出てきた老若男女4人を躊躇い無く射殺。 だが犠牲者の中に偶々妊婦と彼女の堕胎診療目的で訪問していた弟フランシスが居た事を知ったのは翌朝新聞を読んでから 襲ったのも襲われた方も悪党だからとマフィアの取りなしで事件は迷宮入り だが弟殺しを知ったケベックで暮らす両親はその夜命を絶ったと言う。 事件から3年後、保安官助手として偶々酔っ払いを留置所に押し込める任務に付いていたピートは弟を殺した間抜け野郎と罵られ逆上 言い放った黒人チンピラをその場で殴り殺した事から現行犯として取り押さえられ 勿論保安官助手はクビとなる。
腐れ縁となるFBI捜査官ケンパー・ボイドとウォード・J・リデルとの最初の出会いは容疑者と担当捜査官 色々有ってヘマをやらかしたウォードの事を黙っている代わりに快適な留置所生活を送るピートに目を付けたのは 強面の番犬を欲しがった大富豪ハワード・ヒューズ チンピラ殺しは金の力で不起訴にして貰い以後ビヴァリーヒルズの24部屋も有る快適な屋敷の離れで暮らし 時折忍び込んで来るパパラッチを文字通り叩きのめす生活を続ける彼が同居人でJFKの元愛人ゲイル・ヘンディと始めたのは恐喝屋 未だ男尊女卑の時代にDVに苦しむ妻や子供のために浮気をでっち上げ離婚調停に優位に立たせる代わりに多少の手間賃を貰うその仕事は何時か此処を追い出される時の備え 麻薬中毒でボロボロな雇い主が長生き出来る筈は無い 勿論マフィア絡みの殺しの仕事も続けていた。
1958年11月 38歳となったピートは相変わらず飼い犬生活 雇い主が大枚叩いて買収した地元タブロイド紙 ハッシュ・ハッシュ を使い裁判を優位に操るついでにこの手の世論操作が大好きなFBIのフーバー長官と伝手を作ってくれと命じられた彼はその仕事の傍ら何時もの如く強請りを成功させ ついでに全米トラック協会の組合長ジミー・ホッファの依頼を受け ケネディ兄弟が関わる汚職追求組織に横領の証言を行ったアントン・グレッラーを殺害 だがその行為は以前からケンパーやウォードを通してピートを監視していたフーバー長官に有効活用される事になる
防諜作戦やスパイ潜入で有効活用したマフィアに味方し "アメリカには如何なる犯罪組織も存在しない" と公言するFBIと "昔ながらの古き良きアメリカの復活を目指す" 汚れた慣習を認め無い若き英雄=ケネディ兄弟は敵対関係に有った。 フーバーにしてみれば同じ穴の貉なケネディ家頭首と違い共産主義に目覚めたアカそのものな彼等を破滅させる為にはハワード・ヒューズの様な莫大な資産を持つ経済界の成り上がり者を始めとする様々な勢力を此方側に引き込む必要が有る。
白羽の矢を立てられたのは自動車窃盗の囮捜査ついでに内職で稼ぐケンパー・ヴォイドと共産主義組織の盗聴任務に左遷させられていたケンパーの相棒ウォード・J・リデル 証人殺しを黙っている代わりにお前達が買収したゴシップ紙の記者が隠匿しているケネディ家に不都合なスキャンダルをばら撒くのを手伝え FBIを依願退職した事にしまんまとロバート・ケネディ(弟・通称ボビー)の懐に潜り込んだケンパーから頼まれた強請り仕事は未だJFKに未練を抱くピートの相棒ゲイル・ヘンディの離反により失敗。 ハッシュ・ハッシュ紙は警察の手入れを受け記事差し変え 雇い主のヒューズは屋敷に乗り込んだケネディ家の頭首によりボコボコにされた ホッファやピートが行っている証人殺しの真相に辿り着いたウォードは正義感から暗殺事件を表沙汰にしようとしたがフーバー長官に抑え込まれ早期退職に追い込まれる ケンパーはボビーにも味方するWスパイの道を選びウォードと命懸けの綱渡りを始める。
■第2部:共謀 1959.1月〜1961.1月
1959年1月 キューバでは政権を掌握したフィデル・カストロによりバチスタ統治下の秘密警察メンバーの粛清が始まる 亡命の名目で合衆国へ送り込まれた犯罪者達と右左に別れ争いを始めた不法移民達により持ち込まれたコカインでマイアミのキューバ人街は急速に治安悪化が進んでいた。 合衆国は喉元に共産主義の溜まり場が出来る事を望まない CIAはカストロが追い出した犯罪者や元秘密警察のメンバーをスカウトし軍人として鍛え上げ政権打倒の尖兵とするべく動き出している 元FBIで警察上がりのエージェント ジョン・スタントンとガイ・バニスターが目を付けたのはFBIとの繋がりのみならずマフィアや経済界との伝手を持つ殺し屋 ピート・ポンデュラント
マフィアの仕事でマイアミを訪れタイミング悪くキューバ移民の内ゲバに巻き込まれたピートを彼の友人ごとスカウト ピートを通し不法移民の組織を引き込んだCIAは亡命者を使った革命政権打倒の計画をスタートさせる。 前回のヘマで来年にはFBI退職が確定しているウォードは偶々プライベートが忙しい同僚の代わりに盗聴任務に当たって以後マークしていたスタンダップ・コメディアンの レニー・サンズがマフィアの殺し屋アイスピックことトニー・イアノーネを刺し殺す場面に遭遇 実はレニーとトニーは上層部に同性愛者だとバレたら殺されるからという理由で互いに口封じを図ったらしい 政財界のみならずマフィアの内情も知っている情報屋レニーは色々有って (ケネディ家の庶子ローラ・ヒューズと関係持って金が必要になったりと) 手駒が欲しいケンパーやピートにも目を掛けられる事になった。
情報屋を子飼にするなら資金が要る ウォードが手を付けたのはジミー・ホッファ等チーム・スター組合幹部やシカゴマフィアがあちらこちらに隠匿している秘密資金 高利貸しのサルDことマリオ・サルヴァトーレ・ドノフリオや "ジャック・ルビー" ことジェイコブ・ルーベンシュタインを脅迫と大金チラつかせ情報屋に仕立て上げFBIやCIAそしてケネディ家のスパイとして動き回るケンパーのフォロー だが危ない綱渡りは裏金横領に気付いたマフィアによる報復攻撃を受けサルDは拷問死 ウォードの暗躍で破滅したエロ映画監督シド・カビコフはホテルの湯船の中で感電死させられていた。
とまあ昔読んでた時もケンパー/ウォード/ピートが其々動いたり共謀したりしてFBI/CIA/ハワード・ヒューズ/マフィア等々から金巻き上げるついでにキューバで軟禁中にコミニュストに転向しかけたアメリカ人社長誘拐し殺害 隠し持ってた株券等の資産を山分けしたり 反カストロ軍に不向きな男娼やメタボを文字通り間引いてみたりとゴチャゴチャした状況下かなり惨たらしい割に話が中々進まない状況が続きますので思い切って端折ります(笑)
ニクソンを指示するジミー・ホッファには次々と横領の疑惑が上がり遂に告訴された事で対抗馬のジョンFケネディを大統領に押す声は右肩上がり 当選しても貴方の立場はそのままだとFBI長官の地位を安堵されたフーバーは落選工作から手を引き キューバ革命政権と対決姿勢を強めるケネディ兄弟に期待を寄せるCIAも中立を維持する事を決断 ウォードが漸く手に入れたチーム・スターの裏帳簿 その中に記されていた事実はケネディ家頭首とジミー・ホッファのみならずアメリカの政財界を破滅させかね無い事実が含まれており結局本人のみならず娘や恋人の人生までも寄って集ってどん底に貶められた彼は破滅する。
かくして若き英雄JFKはアメリカの大統領に就任というバッドエンドな展開を見せ前半戦は終了。 滅茶苦茶端折っても此処までしか削れない(涙) 暗黒のLA4部作のラスト "ホワイト・ジャズ" が2006年映画製作スタートしてから未だ前に進まないのも物語が濃ゆく黒過ぎるからだと書いときます テレビシリーズにしようにも18禁作品に成りかねないしね。




