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炎628  85年

2020年5/30〜5/31タブレット端末にて執筆し深夜脱稿 即日投稿

好奇心に駆らられて見てみたものの まるで画面の向こうから此方を覗きこんでる登場人物達のアップ除いてそう面白いとは……な映画です。

【 物語設定は第二次世界大戦中ソビエト連邦に編入されたばかりの白ロシア(ベラルーシ) 実在のハティニ村虐殺事件をベースに東部戦線全域で繰り広げられたパルチザンと警察補助隊または処刑部隊(アインザッツグルッペン) と呼ばれた準軍組織の陰惨極まる絶滅戦争描いた作品……と言う事になっている反戦映画。 ()な話ですが、当事者が殆ど殺されてたから 映画公開とゴルバチョフ書記長が始めた情報公開(グラスノスチ)により漸く追跡調査が始まり 国内外を逃げ回る実行犯の逮捕⇒裁判⇒処刑或いは禁固刑が行われたのは90年代入ってからです。 94年にルカシェンコ大統領による軍事独裁政権誕生してから情報統制されてますので今では撮れない風景が山程有るそうな。 】


★2020年5月末現在は "地上の楽園(ちようせんはんとう)化" コロナは気合と祖国に対する愛情で治せと厳命されてるらしくバタバタ死んでるそうです 近隣諸国は国境封鎖中。


☆アインザッツグルッペンのメンバーは冷戦時代 反政府勢力や戦争犯罪人逮捕するため潜り込んだイスラエルのネズミ狩りに使われてたから中々逮捕出来なかったんだよ 其れテーマにした映画も何れ取り上げます。 ハンニバルライジングやマッツ・ミケルセン主演のテレビドラマ版はしっかりネタにしてますね。


原題:Иди смотри 或いは IDII CMOTRI

来たりて見よ 或いは ゆっくり見ていってね でも可

(本編呪いのビデオ並みに怨嗟に満ちてるから此処でガス抜きさせろ)

英題:COME AND SEE

ソビエト連邦⇒現ベラルーシ共和国 劇場公開作品

原作:アレシ・アダモヴィチ 著 ハティン物語 71年

翻訳版無し

▲但し虐殺記念館泊付け予算獲得の為の創作の可能性が高いらしく 

2008年 イーゴリ・クズネッツォフ監督による ハティニの真実という

真相究明映画が撮られています。

1987年 日本劇場公開

2013年 DVD化

■邦題の由来は多くのウクライナ人も虐殺に参加し報告書に纏められた

燃やされ根切りされた開拓村の数 住民の大半は強制移民(リトヴァク)でした。



 実はこんな映画が有るよという話は以前から見聞きしていたのですが敢えて陰惨な物語を見る積りは全く有りませんでした。 最近動画サイトであなたにお勧めと運営サイトから送られて来る様になり 満面の笑顔で女子供嬲り殺しにした挙げ句記念撮影してる場面見せられつい好奇心が……規制入る前は矢鱈多かったボスニア・ヘルツェゴビナや朝鮮戦争の記録映像 (今は閲覧出来ないけどアメリカ軍がフルカラーで撮影した韓国軍による共産主義者扱いされた民間人大量処刑場面がまんま此れだった。 殺される側がまさか本当に撃ち殺されるとは信じてなくてアメリカ人撮影者と一緒に直前まで笑顔で記念撮影してるのが……もの凄く悪趣味です。) そのものだったのでつい好奇心に駆られ手を出す事に 


ヒロイン? グラーシャやナチの女兵士がそこそこナチュラルにエロかったからでも有りますが まあ期待した程の描写は皆無です。 当時の東欧はグロはOKでもエロはアウト 曲がりなりにも多民族国家だから差別描写なんか入れた日には恐ろしい事になりかねません。


元々白ロシア(ベラルーシ)はウクライナに次ぐ東欧最大の穀倉地帯 ロシア帝国時代は聖書に記載されてない植物=ジャガイモ栽培に抵抗するプロテスタントのリトアニア人やカトリックのポーランド人が根絶やしとなり  代わりに各地で邪魔者扱いされていたロマやユダヤ系ロシア人がリトヴァクとして送り込まれ 土地奪われた周辺諸国も奪還の尖兵としてユダヤ系を大量に送り込む事になります まあこの辺りの話は以前投稿した "デファイアンス 08年 (暫定451話)" で色々書いてますので省略しますが ユーゴスラビア同様民族間や宗教関連のしこりや憎悪の連鎖が続いている所は何処も簡単にこんな事を始めるんだと理解した上で酒でも飲みながら流すのが無難かとそう思います。 


あたしゃそもそも主人公にこれっぽっちも同情出来ず感情移入も出来ませんでした 覚悟も無しに敵に銃を向けるな……お前のせいで皆死ぬんだぞ 母親や村長の嘆きはこの映画唯一の真実だと言えるでしょう。



【 まずは本編あらすじ書き始める前に留意事項を ソビエト連邦は1955年にスターリンが退場するまで "化学兵器使用や民間人虐殺を含む如何なる戦争犯罪をも禁止したハーグ陸戦条約に加盟する事を拒否し続けた事で民間人を守らなかった事実が存在します。" 捕虜の処刑に拷問 民兵を使った爆弾テロ等 数々の破壊活動に業を煮やしたナチスドイツは目には目をの世論に押される形で同じく民兵を使った報復行為に邁進する事になり更にはユダヤ人やスラブ人、果てはロマに対する絶滅政策が其れに加わった事でアインザッツグルッペンとして組織された民兵は歯止めの無い大虐殺へ動き出す事になった経緯が存在します。 】


★とは言え此れをほぼ厳格に守ってたのは大日本帝国陸海軍だけなんだけどね パルチザンが捕まったら悲惨な事になるのも条約違反のテロリストだからでドイツ軍も必ずしも好き勝手出来た訳じゃ無いと弁明しときます。



 1943年の秋を迎えようとしているドイツ軍占領下のベラルーシの小さな開拓村 何処からか流れ出すドイツ国歌 破壊活動を繰り返すテロリスト(パルチザン)を探し、空を飛び回る偵察機Fw189ウーフ(がくぶちののぞきま)を威嚇するかの様に其れを振り翳す少年=フリョーラは得意の絶頂に有る 遊撃隊(パルチザン)が川の中洲に隠していたライフルを発見し部隊への参加資格を手に入れたのだ。 其れは誰からも見向きもされない主人公(フリョーラ)にしてみれば農夫から英雄の一員となれる最初のチャンスに見えたが周囲の目は明らかに冷めている。 


主人公の母や二人の妹 そして村人を要らぬ火の粉から守ろうと必至に頑張って来たユースチン村長にしてみれば森に潜伏し 度々貴重な蓄えを持ち去り働き盛りの男達を兵士として奪ってゆくパルチザンは村に寄生する山賊そのもの そしてライフルの回収に現れた指揮官にしてみれば年端も行かず英雄気取りの主人公(ガキ)は単なるお荷物でしか無く 下手に村に残して置けば占領軍の道案内役に成りかねない 結局隊員として引き取り雑役として扱き使われるフリョーラがその現実に向き合うのは全てが手遅れとなってから いったい誰が密告し報奨金を得たのか? みんな死んでしまった以上誰にも分からない。


駐屯地襲撃に向かう仲間達に置き去りにされたのは 命を救われた事を切っ掛けに父親程歳の離れた隊長に憧れる少女グラーシャと主人公 だが出撃した兵士達は誰も戻らず隠れ家には容赦無く爆弾が降り注ぎ森の中は敵を狩り立てるドイツ軍がうようよ居る。 取り残され半ば精神に異常を来し始めた2人は主人公が暮らしていた村へ逃れ潜伏しようと決意する 村を覆っていたのは強烈な異臭だった 道の真ん中で車に轢かれカエルの様に潰れているのは主人公の弟分だった少年の成れの果て 家には誰も居らずスープは未だ温かい 貪る様に其れを飲み干すグラーシャは窓から見える光景に耐えられなかった。


中庭に裸で積み重ねられているのは逃げ遅れ処刑された死体(ひと)の山 その中にはフリョーラの母や二人の妹の変わり果てた姿も有ったが 自分のせいで村が滅びた現実に向き合えない主人公は 隠れている筈の母や妹を探し村中を駆け回る。 襲撃部隊は返り討ちとなり生き残ったのは髭のルベシをリーダーとする僅か3名 (名前出て来ないからハゲとメガネで表記します) ユースチン村長はガソリンを掛けられ燃やされたが辛うじて生きていた 村から "ドイツ軍兵士が捜索を続ける森へ逃げ込んだ事で処刑部隊に襲われなかった" 村人達と共に犠牲者を埋葬した主人公を含む4人のパルチザンは仲間の復讐と避難民の食糧を確保するため留守番役しか残っていない駐屯地に忍び込み細やかな反撃の狼煙を上げる だが余計な嫌がらせに拘ったために食糧は手に入らない。


村人達が埋葬されたナチ将校の死体を加工した案山子を背負い歩き回る彼等は交差点に案山子を囮に爆弾を仕掛け藪の中へ だが其処はドイツ軍が仕掛けた地雷原だった ハゲとメガネは跡形も無く吹き飛ばされ遺されたのは中身の入った靴1足 ヤケクソ気味で近くの村から牛を盗もうとしたら其処に滞在していたドイツ軍に見付かりルベシは牛と一緒に撃たれて死んだ。 たった1人残された主人公は偶々立ち込めた霧に助けられ危地を脱出  ハティニ村の農夫だと名乗る老人に銃を向け馬車を奪おうとするが周囲を走り回る処刑部隊に捕まれば命は無いぞと逆に説得され村へ滞在する事になった。 


多分本編唯一の笑い所なのは老人の娘達 何処までが肉親で何処からは拾って来たのか判別付かないがユダヤ人は子沢山と言うイメージを彷彿させる大量の少女達の紹介シーン 勿論其れまで陰鬱な雰囲気にしっかり呑まれていた私と主人公は彼女達の名前を覚えきれなかった(笑)



 そして間髪入れず始まるアインザッツグルッペンによる地獄絵図 酒を飲み干しゲラゲラ笑いながら現れたウクライナ人とドイツ人の老若男女の混成チームが始めたのはマッドマックス2や北斗の拳の悪役も思わずドン引き必至な虐殺ショー なんか具体的な描写書いちまうと自分自身が許せなくなるから敢えて省略しますが なんか危ない薬でも投与されてんのかと真顔で撮影スタッフ絞め落としたくなる其れについては見たいなら覚悟しろとだけ書いときます アレに登場した俳優や女優さんがもし目の前に現れたら例えフィクションでお芝居だとは理解しててもデストロイモードに移行するだろうね私 人間の笑顔や笑い声があんなに気持ち悪いとは思わなかった。


村人を皆殺しにした処刑部隊は主人公に銃を突き付け記念撮影 実は映画冒頭部分のパルチザン兵士達の記念撮影シーンのセルフパロディそのものだったりするのですが 壊れた主人公残して森へ向かったアインザッツグルッペンを待ち受けていたのは完全装備のパルチザン部隊 追う側から逃げ回る立場に変わった処刑部隊は次々と惨たらしく撃ち殺され さっきまで生きながら炎で焼かれる子供達見ながらエロい表情でカニ食ってたナチ女の断末魔を目撃した主人公はおもむろに彼女のポーチを物色 包帯を記念品に奪い草むらに隠していたライフルに巻き付ける。


生き残り捕虜となった処刑部隊の士官達は 指揮官は露骨に命乞いを ウクライナ人の通訳や義勇兵はドイツ人が殺れと行ったから仕方無くと言い逃れを図るがグラーシャと共に現れた主人公の証言により有罪が確定 仲間同士で殺し合いを始めようとしたバケモノ達を撃ち殺したのは生き残った老婆達 転がる死体をそのままに次の戦場へ向かうため橋を渡り森へ向かうパルチザン部隊 たった1週間でしわくちゃな老人に変わり果てた主人公は泥濘に転がるヒトラーの写真を撃ち抜く幻想を見ていた。 ちなみにワーグナーの楽曲が歪に流れる此のシーンだけは本物の記録映像 アウシュヴィッツで見つかった大量の死体と骨と皮に成り果てた囚人の生き残り 真珠湾攻撃で戦艦を吹き飛ばす帝国海軍機の姿 (オイ(汗)) ナチスの進撃場面の逆回し映像に徐々に若返るヒトラーの姿。


やがて我に返った主人公はパルチザンに合流しその姿は人波に消えてゆく 1943年 ベラルーシで焼かれ根絶やしとなった村は628にも及ぶ パルチザンとして立ち上がった人々の約8割は軍に編入され最前線で使い潰され生きてこの地に戻る事は無かった 処刑されたユダヤ人は推定85万〜130万名 遺体は念入りに焼却され粉砕し野に撒かれ 生き残った僅かな人々は皆国を捨てたため詳しい犠牲者数は未だ推測の域に有る。 再占領したソビエト軍による組織的な報復虐殺も含め民間人の推定犠牲者数は220万 有れから70年以上の年月が流れたが独立を果たしたベラルーシの人口は未だ全盛期には程遠い。


★Fw189ウーフ偵察機にソビエト側が付けた渾名は "額縁" でした。


☆アインザッツグルッペンの活動はドイツ国防軍の士気の妨げとなると判断されており彼等が居る場所では虐殺は行われていません。 党本部へ報告する為撮影された虐殺映像はかなりの量が閲覧可能ですが ホロモドール同様にネットでの視聴は制限されてますね。 なお手口はロシア人が再現したからまんまソビエト方式です オリジナルより醜悪度は跳ね上がります。


★ソビエト在住の人々がナチスの虐殺行為に多くのウクライナ人や占領地の裏切り者が加担した事実を知らされたのは1990年代に入ってから 生きてる間は中々公表出来なかったそうです。 そもそもソビエト側が交戦規定守って無かったから民間人虐殺だけでは告訴出来なかった事情が有ります。



生還者の証言は余り参考にしてないそうですがハティニ村の生き残りは大人1人に子供5名 148名が焼き殺されたそうです。 映画独自の演出で殺戮に耐え切れず吐いている兵士も写り込んでいます。

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