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愛と哀しみの果て 85年

2020年1/5〜1/6タブレット端末にて執筆し脱稿 1/20お昼投稿

【 個人的に最高だと思うのはロバート・レッドフォード演じるイケメン冒険家 デニス・フィンチ・ハットン の操縦する複葉機(タイガー・モス)で農場を手放し独り祖国に帰らないといけなくなったヒロイン カレン・ブリクセン が生まれて初めて体験する生涯最初で最後のアフリカ遊覧飛行シーン。 直後のラブシーン(私は無言で早送り(笑))含めて音楽ジョン・バリーによる号泣必至な名場面なんですが……日本ではフリーダムにも程が有る才能溢れる美男美女の恋愛概念が受け入れられたかどうか? アメリカやイギリスの観客動員も微妙だったりするノンフィクション。 】


☆ちなみに操縦は年下の愛人にして女性冒険家(パイロット) "ベリル・マーカム" からベッドの中でも手取り足取り教わり彼女の飛行機借りて主人公(カレン)に会いに来たらしい……という裏事情知ってると色々複雑なモノが有りますが……まあ固い事は言いっこ無しで(^_^) 映画公開当時 原作者は既に亡くなっていましたが "ベリル" は健在だったそうです。尤もこの作品についてのコメントは残されてません。


★確かに恋愛映画なんだ……恋愛映画なんだけど この陳腐なタイトルど〜にかならなかったんだろうか(泣) 私は原題で公開するべきだったと思います。


原題:OUT OF AFRICA

アフリカを去りぬ.かな?

アメリカ劇場公開作品.

日本では1986年 アカデミー作品賞 授賞後に公開.



 原作はデンマーク貴族・男爵夫人(バロネス)で2009年まで50クローネの肖像画になってた北欧&北米文壇の大御所 カレン・ブリクセン(旧姓はディーネセン) ⇒本国では勿論本名でしたが男尊女卑のアメリカ社会では出版難しかったから イサク・ディーネセン名義 で1937年に同題にて出版。 日本では当初晶文社⇒河出書房新社から アイザック・ディネーセン 名義の作品集の1本"アフリカの日々"として1981年出版⇒現在文庫版が入手可能だそうです。 なお本来は イサク・ディーネセン と発音するのが正しいのですが "アイザック・ダイナセン" と書き間違えた"字幕の大誤所(とだなんとか)"だけでなく翻訳者総出で色々誤字脱字やらかし面倒くさい状況になってます。 


ついでに書いとくと登場人物全員、写真や動画映像に残されている程の有名人(セレブ) デニス は実家が今もイギリスで有名な伯爵(ハットン)家だし映画本編には全く登場してませんがヒロインと男取り合いしてた ベリル も男爵(マーカム)家の令嬢です。 彼女自身も才色兼備&多芸多才にも程が有り過ぎるライバルの自伝出版に色々思う所が有ったのか、1942年に同じくアフリカ・ケニアでの体験談や 愛人の1人=デニス との思い出を綴った自伝 "West with the Night" を出版し文壇デビュー。 戦争中だった事も有り、不謹慎だと怒られそんなには売れませんでしたが今作が映画化決まった直後の1983年に再出版しそこそこ売れました(苦笑) 本人は1952年に故郷(ケニア)へ戻り実家の仕事(ぼくじょうけいえい)に専念していたので知る由もないまま映画公開の翌年亡くなっています。


お貴族様は気楽で良いなとちょっと苛ついた私個人の感想は置いといて、音楽はお気に入りなんですよ 今でも時折CD引っ張り出して聴いてます。 でも何故か主題歌(或いはイメージソング?)は入って居ません。 ではそろそろあらすじに、 惜しむらくは日本語吹き替えが無いから感情移入し辛い所かな 恋愛ドラマとしては致命的な失策です……せめてテレビ放映時の吹き替え音声でも入ってれば素直に泣けたかも?



【 才色兼備に加え多芸多才 男ならば引く手あまたなその才能は男尊女卑が当たり前だった20世紀初頭の白人社会では到底受け入れ難いモノだったのかも知れない 作家として名を馳せ軍人だった父ヴィヘルムから受け継いだのは莫大な資産と芸術に対する深い知識 此処に私の居場所は無い 祖国デンマークに見切りを付けたこの物語の語り手 "カレン・ディーネセン" が選んだのは新天地での再出発だった。 彼女が向かったのは多くの自然が手付かずのまま残された植民地=アフリカのケニア。 其れは人生で最も輝いていた18年間の思い出。 】


★年数にして18年 映画自体も上映時間2時間半の物語ですので長い話になります。 流石に何もかも削るのは難しかった……ちょっと粗筋長めです。


☆DVD特典映像には遺されたカレンの手記と映画に負けず劣らずなイケメンイケジョ揃いの主な登場人物達のポートレート。 当事者最後の生き残り"老境迎えたカマンテ元少年のインタビューシーン"が残ってます。 ちなみにメリル・ストリープは役柄演じた姿より素の表情が魅力的です。



 アフリカの朝焼けを夢見る時 思い出すのは彼 "デニス・フィンチ・ハットン" の後ろ姿とレコードが奏でるモーツァルトのクラリネット協奏曲。 自分のスタイルを最後まで貫き、狩りに行く時も蓄音機を手放さない変わり者な愛すべき自由人と第二の故郷ケニアの思い出は切っても切り離せない  アフリカに移住しよう そう決めたのは20代後半、結婚を考えていたとある男性に素気なくされたある日の朝。 学生時代からの古い友人で色々貧窮していた夢見がちのスウェーデン貴族 ブロア・ブリクセン男爵と形ばかりの式を上げ移住権を手に入れた私が向かった新天地はアフリカ東部の大自然と山々に囲まれたケニア。 牧場経営に勤しみながら互いに束縛されず悠々自適な生活を送ろう……そう決めていた私と彼の出逢いはロマンの欠片も無い他愛もない必然からだった。


私達が出逢ったのは1913年 当時のアフリカ大陸で最も早い移動手段は蒸気機関車だけで自動車も馬車程には普及しておらず飛行機も未だ重い荷物なんて運べなかったそんな時代。 大量の象牙を人手を介さずケニアまで持ち帰りたいと考えると取れる手段は通りがかりの其れに頼るより他に無い 


「こんな僻地へ牧場経営に手を出した物好きな北欧貴族を見てみたい。」


後にそんな理由をいけしゃあしゃあと語った "デニス" は列車を丸々チャーターしアフリカに大量の家具や衣類に加えボーンチャイナや硝子(ガラス)製品まで持ち込んだ私達を世間知らずのおマヌケ様だと呆れていたそうだ 実際その通りだった。 赤茶けた土が剥き出しの道路と間に合わせに建てられた壁の無い掘っ立て小屋みたいな店舗に木で舗装された歩道が並ぶ首都ナイロビは、何時も埃に塗れちょっとした雨により忽ち手の付けられない泥濘に変わる。 日がな1日、女性と先住民立ち入り禁止のクラブに居座る老人達はヨーロッパ以上に慇懃無礼で横柄な態度を崩さない屑ばかりだし 間に合わせの結婚式を終えた友人(ブロア)はそそくさと浮気相手に会うために姿を晦ました。


私達が買ったンゴングの土地は標高こそ高く水も緑も豊かな場所だが、ライオンを頂点とする野生動物が支配する土地で到底牧畜には向かない……(ブロア)の提案で牧場建設は断念し珈琲(コーヒー)栽培に切り替える。 畑を穿り返すヒヒや草食獣 番犬にまで襲いかかる猛獣に苦しめられながらの開墾は、常に正装姿の頼りになる執事 "ファラ・アデン" を通して近隣に住むキクユ族の村人達を雇い入れ対処するが 珈琲が収穫出来るのは早くとも4年後。 母から渡された生活資金を少しづつ切り崩しながら続ける生活に音を上げた夫は猟に出掛けると言い訳し滅多に家に寄り付かなくなり私自身も半ばヤケクソ気味で農場経営にのめり込んでいく。


医療従事経験を活かし頑な村人達と交流……その中には後に屋敷の料理人となったマサイ族の少年 "カマンテ" との出逢いも有った。 偶々再会した "デニス" とその友人 "バークレー" "ソマリ族のカヌチア" を泊めたのはちょっとした気紛れから、教義により酒を飲めずハラル処理された食物以外食べられないカヌチアは席を外す事になったが暖炉を囲み酒を傾けながら出来る唯一の娯楽=即興的に組み立てる御伽話に感銘を受けたデニスからは "君は自分が組み立てた物語をちゃんと書き記すべきだ" と美しい万年筆を渡される。 彼がオックスフォード大学出の貴族の子弟だと分かったのは随分後になってから……後に何もかも失い祖国に戻った私の生活を支えたのはその時の他愛もない遣り取りが切っ掛けだった。



 1914年 第1次世界大戦が始まり、ケニアでも多くの男達が徴兵され先住民族の中からも多くの若者が植民地間の争いに駆り出された。 独り農園を丸投げされた私は執事(ファラ)やキクユ族と共に様々な調停やトラブルに立ち向かう事になる。 奥地に取り残された白人集落への食糧輸送の際、道に迷い苦しんでいた私達を救ってくれたのは途中偶々再会したデニス達からプレゼントされた方位磁石。 疎遠気味だったブロアと和解し身体を重ねた結果、梅毒に感染しケニアを離れ異国となった祖国デンマークで母と二人三脚で砒素治療に挑む生活……ちなみに留守を守ったのはブロアと執事(ファラ)料理人(カマンテ)……漸く歩けるまで回復したものの子を成せない身体となった私はキクユ族やマサイ族そしてソマリ族の待遇改善に勤しむ様になる。


戦争が終わりナイロビを走り回るのは人力車から自動車に変わる。 成金となり大型の獲物を求めやって来る様になったアメリカ人に戦後の混乱や政変により居場所を無くし或いは祖国に愛想を尽かして新天地を求めやって来る東欧系ユダヤ人にフランス人やインドの人々。 親友バークレーの病死と隠されていた現地妻との愛憎等々色々有って血生臭いハンター生活に見切りを付けたデニスが始めたのは野生動物保護に自然保護活動。 再び放蕩生活に勤しむブロアとヒロインの別離等々 実は2時間半でも全然足りないからナレーションやモノローグで早送りする場面がドンドン増えます(笑) なんせ原作が長いので仕方が無いのです。 昔の映画みたいに2部構成トイレ休憩なんて入れられませんのでね。


☆余りに本編が端折った物語でしたから2017年頃からテレビシリーズの企画立ち上がっているそうですがあの面子レベルのタレントを集められるかどうかや脚本誰が纏めるのかとか何よりも予算どうしようとなっているのが現状です。 映画じゃ街1つ珈琲農園やキクユ族の集落を丸々建設したのみならず、動物集めて鉄道路線まで引いたのでCGで誤魔化したらブーイングの嵐だろうし。



 子供が産めない事実&未だに病気の後遺症に苦しんでいる事実を隠し、愛人(デニス)と逢瀬を重ねるヒロインと 継承権やらその他諸々で特定の相手と人生を共に生きる事が叶わないデニス。 歳を経て世の中が見えて来る様になった共通の友人で元夫ブロアからは事情説明して幸せになれと後押しされるも中々先へ進めない2人の付かず離れずな交際は10年以上にも及びやがて別れの時が訪れた。 漸く収益が上がる様になった珈琲農園を襲った森林火災に第1次世界大戦後徐々に燻り出したアフリカ民族の独立運動とキリスト教に帰依したキクユ族とイスラム教を信じるソマリ族に遊牧民族として定住や支配される事に我慢がならないマサイ族の対立。 植民地の強権的な支配と搾取を続けないと自国の経済維持が悲惨な事になるイギリスvsフランスvsその他列強の水面下で続くパワーゲームにより外国人排除が始まった。


デンマーク人は此処から出て行って欲しい 法律改訂により何もかも手放さざる終えなかったヒロインは今も英国貴族で有るデニスの口添えによりケニアに赴任した新総督夫妻と直談判。 農園に住むキクユ族達の新たな移住先と土地の所有権を確約させ全ての家財道具を手放した。 穏やかに終わる筈だった別れが悲しい結末を迎えたのはその数日後、乗っていた飛行機が墜落しデニスが事故死。 遺体はンゴングの丘に葬られ彼女は愛犬と共に此処を離れる事に……最後まで忠誠を誓ってくれたファラやカマンテとの永遠の別離を映し物語は老境を迎えたカレンに届いた友人からの手紙で幕を閉じる。 デンマーク帰国後、1934年に作家として文壇デビューしナチスドイツによる占領統治や連合軍による爆撃等々過酷な時代を生き延びた彼女はその後も様々な物語を書き続けた。 梅毒の再発により再び倒れたのは1951年の事、その後ラジオパーソナリティとして活躍を続ける彼女がデニスの待つ境界の彼方へと帰らない旅に出たのは1962年。 


結局彼女は再びケニアへと戻る事は無かった。"ナイロビの白人居留地"には彼女とデニス達の民族支援&自然保護の功績を讃えた歴史資料館が建てられ今も観光客や農園の子孫達が訪れている。



★この映画最大の突っ込み所はデンマーク在住時代〜老境を迎えたメリル・ストリープ演じるヒロイン=カレンに付き従う巨大ワンコ(ウルフハウンド) 物語の都合上登場人物達は全員サザエさん時空に居ますんで料理人(カマンテ)が成長しないとか突っ込むのは禁止です。 だって映画だし。


☆映画本編でちょっとだけ嗤ったのは学童教育に反対するキクユ族長老の迷台詞「イギリス人は文字を学んで何を手に入れた?」 イギリスにて低所得層までケアした義務教育が始まったのは"1979年に入ってから"で今も高等課程は迷走中。 結果高収入が約束されている主な職場は貴族の子弟と子供の頃から文字や数学学んだ北欧や東欧、アフリカやアラブ果てはパキスタンやインドの出稼ぎ労働者に取られました。 教育と貧困は比例します。 イギリス当局の意向を無視して行われた義務教育によりケニアの支配層は未だキクユ族が握ったままです。 結果ソマリ族は山賊で生計立てる状況になってる訳ですがね 宗教指導者主導で行われる義務教育は色々歪みます。


★借りて来たDVDがデータ破損により物語を冒頭部分⇒中盤視聴諦め後半突入部分からしか堪能出来ません 何れ別のレンタル店から借りて来て再視聴したいと思います。 途中不明だから特典映像の説明とネットから色々漁る事になりました。


☆本編とは無関係ですが愛人の事故死に色々思う所が有ったベリルはデニスの友人&飛行機仲間の支援を受け1936年にヨーロッパ⇒アメリカ合衆国への女性パイロットによる単独横断飛行を成功させました。 残念ながら機体故障でニューヨークまでは足を延ばせなかったものの初めての快挙となります。







2021年6/15追記:今なら不倫だ不誠実だと怒られるのかも知れませんが 江戸時代の日本よりも遥かに男尊女卑だった欧米では未婚女性の海外旅行は、はしたないと中傷されたり場合によっては出国や入国も認められなかった経緯が有ります 日本がそうなったのは明治時代に入ってから 其れまでは女性が駄目な旦那追い出したり離婚=三行半突き付ける権力有りました 維新により性的モラル含めかなり退化してる辺りが何ともはや 江戸時代まではレイプ案件かなり少なかった しかも圧倒的に独身男性が多かったにも関わらず……家族風呂や若い女性の行水は別段やましい事と感じて居なかったなんてアメリカ人が書いた報告書が残ってます アフリカもそうだけど着飾った服着た方がエロかったんだって(笑)

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