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砂の肖像 07年

2019年11/8〜11/11タブレット端末にて執筆し朝脱稿 同日朝9時投稿

読み終えたけどかなり消化不良気味です。後日色々書き足すかも?

【 其れは物語の主役に据えるには今ひとつ足りないし、脇役やモブに据えるにはあまりにも個性(あく)が強過ぎる人物達との出会いと別れを道端で拾った様々なガラクタに例えた……敢えて書くなら人間スケッチみたいな物語。オチなし山なし意味はなしな無い無い尽くしのストーリーですので、眠る前に何か心が落ち着ける物語が欲しいお客様向けかな? とだけ書いときます。 】


★其れなりにお歳を召した方限定となりますが敢えて例えるなら "今日と昨日が出逢うとき" と津嘉山正種ボイスのナレーション入れたくなります。


2005年〜2006年 文芸雑誌 群像 掲載作品を纏めた短編集.

日本・純文学小説.

稲葉真弓.著

講談社.出版



 読んで物語の世界に惹き込まれたら即寝落ちする事必至な短編集……例えるなら1978年〜2001年初頭までNHK FMラジオでやってた伝説の番組"クロスオーバーイレブン"の朗読劇みたいな物語です。この雰囲気嫌いではないのだけれど取り留めのないエピソードを可能な限りシンプルにわかり易く紹介しようなんてスタイルで書くと結構大変でなんかもう己の未熟さを思い知らされる作品達で御座います。このサイトで投稿を始めた頃の自分だったら散文的な描写と取り留めのない会話劇に感想書くの断念する事必至、図書館から借りて来た4つの物語=5冊の書籍の1つでしたから先ずは粗筋をどうにか纏めてと書き始めたのは良いものの第三者目線で読んで面白いモノなのか? そもそも前口上どうしようかと散々悩む羽目になりました。


物語の語り手は稲葉真弓或いは倉田悠子で有り、ノンフィクションと勘違いしそうになりますが勿論そんな訳も無く……と終始そんな感じで進みますので読んでて戸惑うお客様も多いだろうし恋愛要素も世界の危機も有りませんしわくわくさせたりドキドキする描写も存在しないから1〜2話読んでタルいと放り出す人も多いだろうなと思います。裏取りも兼ねてネットで書評閲覧してみたんだけど流石に絶賛している人は居ませんでした(苦笑) あくまでも文芸雑誌のページ稼ぎみたいな物語であり強いて例えると水か空気みたいなエピソードばかりなんだよなぁ 読んでいる人を不快にさせない疲れさせない小説だと言えるのかも?


まあそんな理由で今回は小見出しも外します 後20年も生きてりゃ私もこんな境地を理解出来るのかね。



①石に映る影 2005年4月


 ある日石屋を営む友人から贈られた水が閉じ込められたメノウの原石に"ニコ"と名付けた雑文書きの女性が綴る"誰にも成れて誰にもなれなかった"年齢不詳正体不明の黒づくめな女性"K"の思い出。90年代初頭とある作家へのインタビューの際、自称彼のマネージャーを名乗る彼女に何故か気に入られ、度々身分不相応なお高いショットバーに呼び出され酒を飲みながら交わした他愛もない会話から浮かび上がるのは河原の小石に物語を感じる"雑文書き"の半生と価値観も生き方も全く異なる"K"がまるで自分がその人生を追体験した様に語る奔放な女優で有りファッションモデルに歌手でも有った"ニコ=本名クリスタ・パフゲン"の肖像。


やがて飲む機会も自然消滅し、彼女との関係も思い出話に変わった2000年代初頭 調べ物が有り立ち寄った図書館で偶然目にした、ニコに纏わるドキュメントビデオに夢中になった雑文書きはKが語らなかった"彼女が壊れた背景"に心動かされ久し振りに彼女に逢いたいと切望する様になるが、数年後とあるパーティー会場でKを知るあの時の作家から知らされたのは………………。


物語は早世したKを偲ぶ雑文書きのモノローグで幕を閉じる。


☆追伸:矢澤にこは出てきません…とは言えあの娘のモデルってやっぱりニコなのかねぇ。


★そういや20代の頃、気合い入れて行ってみた都心のショットバー……カクテル5杯とおつまみ程度で1万円ぶっ飛びました(泣) 当時食べ飲み有りなカラオケスタジオで10名✕4時間歌い店のボトル10本明けて8万円だった時代の話です。勿論最年長者の私が全額払う羽目になりました。




②ジョン・シルバーの(いしぶみ) 2005年11月


 悪性繊維性組織球腫(あくせいせんいせいそしききゅうしゅ)……数万人に1人しか発生しない特殊な病に罹った物書きの87歳の母が悩み抜いた末に了承したのは右足ふくらはぎより下の切除手術。弟夫婦と暮らす愛知県の実家を離れ3日前に東京の病棟に入院し、迫る時間をなるべく気にしない様に母と過ごす物書きに掛かって来た電話は弟の嫁サキちゃんが語る寺で祈祷師を営む尼からの不可解な警告。有るべきモノを有るべき場所へちゃんと戻さないと淀みが生まれる…母が足を悪くしたのは其れなのかも知れない。


そういえば実家に有る2つの井戸は滲み出る汚水による悪臭で使えなくなり、子供の頃に妹と2人、納屋から持ち出したガラクタを投げ込んだりと悪戯やらかした跡がそのままだった筈……私はジョン・シルバーになるんだねぇ……そう呟き手術室へ向かった母の右足切除が終わり外泊許可が降りる様になったのは2005年の正月を過ぎてからの事だった。井戸のお清めの儀式を年末に終えトラックにより運び込まれた綺麗な川砂で埋め立てられたのは程なくしてから……井戸が呼吸出来る様に真ん中に据え付けられた竹筒がまるで右足を弔う碑に見える。


まあ…それだけの話だ。



③小さな湾の青い王 2006年3月


西瓜糖(すいかとう):血液の浄化に有効な成分シトルリンをスプーン2〜3杯で取れるメープルシロップ状に加工した民間薬。スイカを皮や種も丸毎砕いて抽出した水分をひたすら煮込みアクや細かいゴミをすくい取り茶色のジャムみたいになるまで水分飛ばすそうな…本編粗筋には組み込めなかったから別記しました。


 東京に生活拠点を持つ"語り手"が仕事が一段落する度に駆け込むのは、幼い頃は避暑地として家族が集う場所だった房総半島に佇む古びた別荘。バブル崩壊による地価下落と住民達の高齢化、海岸の環境汚染により急速に寂れつつある道をゴム長靴で散歩し訪れる者も車の騒音も無い無い尽くし"西瓜糖"で出来た様な世界で偶々目があった岩場に潜む青白い大蟹をヌシと呼び想像の世界を楽しむ彼女がある日出会ったのは生まれ故郷に里帰りしに来た石屋を名乗る30代程の男性と耳が聞こえない美しく幼い少女。


一期一会の穏やかな出会いと他愛のない会話に年甲斐も無くはしゃいだ時を過ごした語り手が、そういえばあの親子の名前も連絡先も知らないなと我に返ったのは別荘に戻り寝る頃になってからの事だった。



④フードコートで会いましょう 2006年10月


 10年前に東京を離れ、唯一の親族である叔母が暮らす群馬県の山あいの街で暮らす帽子職人"栗田"が親子程年の離れた変な生き物"由加"と交流する様になったのは、癌となった叔母が入退院を繰り返す婦人科病棟からの返り…バスの中で突如容態を崩した彼女を介護したのが切っ掛けだった。 精神安定剤を常用し"杏里"と名付けた顔の無い人形をいつも側に置く半ば気の触れた彼女とフードコートで待ち合わせ3時のおやつタイムを過ごし他愛のないやり取りを交わす……それは末期の癌で余命幾ばくも無いであろう叔母のお見舞いを続ける栗田にしてみればちょっとした息抜きでも有るのだと気付かされたのは放射線治療で抜けた頭髪をカバー出来る様仕上げた帽子を叔母にプレゼントした日の事だ。


ねえ、歩ける様になったら今度下のマーケットのフードコートにいってみようかと鎮静剤が効いてきて眠りかけた叔母にそう呼び掛けた時、栗田は由加を友達と呼んだ事に気付きちょっとだけ楽しくなった。



⑤砂の肖像 2006年12月


 とある"物書き"が回想するのはとうとう編集部を通した手紙のやり取りだけで声を交わすどころか何処に住みどういう人生を歩んだ人物だったか皆目解らない"M"との10年近い交流の記憶。 互いにプライベートには踏み込まず、コチラからは御礼の長い手紙と細やかなプレゼント。あちらからは世界中を飛び回り旅先で集めたという現地の砂や石…時には溶岩の様な大物を手紙と一緒に送ってくる彼とのやり取りは、彼が脳梗塞で緊急入院〜退院した辺りから徐々に違う様相を見せ始める。 実は末期癌が判明し身辺整理を始めた彼が託してくれた思い出の品々だと判明したのはMが自室の火事によりこの世を去り手紙が転送されてきた親族を名乗る男性からの電話を受けてからの事。


そもそもMは砂や猫グッズを持ち帰った土地の名前を例外として、慎重に自身の正体を消していた。それは迫り来る死を意識した彼が示した礼儀なのかも知れない、物書きに取って彼は砂と猫と石の人であり孤絶した島々への旅を愛した人、そして綻びと崩れを慈しむ人だった。彼が何処に住みどんな人生を送った人物だったのか敢えて暴き立てるのはルール違反なのだろう。 そう結論付けた物書きは推測するのを諦めそれまでMが送ってくれた砂や様々な石のサンプルを机に並べた。









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